【法務NAVIまとめ】吸収合併手続まとめ
2016/01/12   商事法務, 戦略法務, M&A, 会社法, その他

1 吸収合併が多い理由

 M&A(合併・買収)の現場では、吸収合併が圧倒的に多い。理由は単純明快で、吸収合併は新設合併に比べて、登録免許税の額が安いからだ。吸収合併では、税額が資本金増加分の1000分の1.5なのに対し、新設合併では、税額が新設会社の資本金の1000分の1.5となる(登録免許税別表参照)。
参考:登録免許税一覧
 (出典:会社設立手続きを自分でやる!)

2 吸収合併手続の流れ

 合併を行うための手続きは、かなり複雑だが、概略すると以下のとおりになる。
 ① 合併契約書の作成(取締役会決議)
 ② 株主に対する通知・公告&会社の債権者に対する異議催告の通知
 ③ 合併承認株主総会での特別決議
 ④ 合併登記

 合併を行うために必要な時間的スケジュールも法律で定められている。
参考:吸収合併時間的スケジュール

(出典:すぐに使える!事例でわかる中小企業のための会社法Q&A:)

3 合併契約書の作成

合併契約においては、必ず合併契約書を作成しなければならない。
参考:合併契約書雛形
(出典:金子博人法律事務所)

また、合併契約書には記載しなければならない事項が法定されている。
参考:合併契約書の記載事項
(出典:TOMAコンサルタントグループ)

4 利害関係者保護

 吸収合併においては、利害関係者保護のため、会社債権者保護手続と、反対株主の買取請求が重要となる。
(1)会社債権者保護手続
 合併を行うと、会社の資産に変動があるため、株主、会社の債権者に対して重大な影響が生じるおそれがある。そこで、合併を行う場合には、事前に一定の事項を記載した書類を本店に備置し、株主や会社債権者に開示する必要がある。
 参考:事前備置書類雛形

(出典:名古屋証券取引所)

 また、官報に公告して、知れている債権者には、個別の催告を行う必要がる。
参考:「知れたる債権者に対して合併に関する催告をする催告書」の雛形
(出典:佐々木事務所)

 ただし、一定の場合には、個別の催告の代わりの措置を行うことが認められる。これにより株主や会社債権者に対して異議を申立てる資料を提供することになる。開示する内容・開示時期については会社法に定められている。
参考:個別催告を省略する方法

(出典:フォーサイト総合法律事務所)

(2)反対株主の買取請求
 吸収合併が行われると株式の経済的価値の変動、及び株主の持株比率の変動が生じる可能性がある。そこで合併の承認は、通常よりも決議要件のハードルを上げて特別決議により行われる。
 合併に反対する株主については、投下資本の回収の機会を与えるべく保有する株式の買取請求が認められる。買取価格は、会社と合併反対株主との協議により決定する。会社と合併反対株主との協議が整わない場合は、裁判所が公正な価格について判断することになる。
参考:反対株主の株式買取請求について
(出典:虎ノ門パートナーズ法律事務所)

5 合併登記

 合併の効力が発生すると、存続する会社においては変更登記を、消滅する会社においては解散の登記をする必要がある。
参考:吸収合併登記必要書類
(出典:奥西司法書士・行政書士事務所)書士・行政書士事務所)

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