介護離職の防止対策についてまとめ
2016/11/19 コンプライアンス, 労務法務, 法改正, サービス

はじめに
厚生労働省は介護を理由にした離職を防ぐため、企業向けの助成金を新設しました。助成金の名称は「介護離職防止支援助成金」です。介護活動をしている従業員の負担軽減の取り組み、支援策を取り入れている企業が対象となっています。
介護の現状
介護をしながら働いている人は、全国で200万人以上います。その中で、介護と仕事の両立が困難になり、仕事を辞めてしまう“介護離職”は、 年間10万人になります。
離職をした人の多くは、経済面だけではなく、介護疲れや孤独など精神的な辛さに直面し、さらに40~50代の働き盛りであり、企業にとっての損失です。
介護離職を減らすための取り組みは、企業に加えて厚生労働省も行なっており、育児・介護休業法に定められた 介護休業制度などの周知徹底、介護を行っている労働者の継続就業を促進しています。
介護離職防止支援助成金の新設 PDFへ
介護を理由に離職する人は、年間10万人にも及ぶと言われ、中小企業の中には、介護休業の規定がないところもあります。
そこで、厚生労働省は2016年内に、事業主向けの介護離職防止支援助成金の導入を目指しています。
介護離職防止支援助成金は、介護をしている従業員へ配慮し、介護と仕事の両立がしやすい環境づくりを事業主に促すのが目的となっています。
介護離職防止支援助成金が支払われるケース
①介護休業
1企業当たり2人(※)まで:1人につき40万円(中小企業は60万円)
②介護制度
1企業当たり2人(※)まで:1人につき20万円(中小企業は30万円)
(※)期間雇用者、期間の定めのない労働者1人ずつ
介護休業を取りにくいとされる中小企業への助成が手厚くなっています。
介護離職防止支援助成金の支給要件 PDF
①従業員の仕事と介護の両立に関する実態把握(社内アンケート)
②制度設計・見直し(就業規則等の整備、法律を上回る制度の導入)
③介護に直面する前の従業員への支援(社内研修の実施、リーフレットの配布)
④介護に直面した従業員への支援(相談窓口の設置及び周知)
⑤働き方改革(年次有給休暇の取得促進、所定外労働時間の削減について一定水準以上の実績把握)
⑥①~⑤までの要件を満たした時から2か月以内に支給を申請すること
育児、介護休業法(以下、改正「育介法」という)による介護離職を減らす取り組み
介護休業は、2017年1月1日、最長で93日間分割取得が可能で、現在は原則として家族1人につき3回まで分割して取得できるようになります(育介法2条)。
介護休暇については、1日単位で年5日まで取得できるようになります(育介法4条)。
また、介護のための労働時間の融通が、介護休業とは別に利用開始から3年間で2回以上利用可能になります(育介法9条)。
労働時間の融通では、労働時間の短縮、フレックスタイム、始業や就業時間の繰り上げや繰り下げ、介護費用の助成などいくつか選択することができるようになります(育介法5条、9条)。
また、対象家族一人につき、期間の制限なく、 介護が終わるまで残業の免除が受けられるようになります。「介護休業給付金」は、8月1日より40%から67%に引き上げられています。
介護休業が取得できる基準は、「要介護2以上」と基準が明確になり、要件も緩和されて取得しやすくなりました。
最後に
今まで見てきたように介護離職を防ぐために様々な手段がとられようとしています。しかし、多くの企業は、自社の介護離職についての状況、対策に本格的に乗り出していません。
むしろ 企業側が従業員の介護経験状況を把握していることは稀です。そして、中小企業では、従業員が介護休業、休暇の制度を知らない場合も有ります。
企業は、介護を行っている従業員をより支援し、支援のために介護離職防止支援助成金を活用できると理想的かもしれません。
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