【法務NAVIまとめ】広告法務のチェックポイント1から10
2016/07/25   広告法務, 不正競争防止法, 景品表示法, 薬機法, 金融商品取引法, その他

広告法務とは

商品やサービスの広告には、消費者保護や公正な競争を確保するための様々な法規制があり、刑事罰の定めもあるので注意が必要である。

cf. 広告法務とは?
出典:広告法務・早川行政書士事務所

広告法務の確認ポイント1~10

まず、(1)そもそも広告なのか、(2)どんな販売方法なのか、(3)商品、サービスの種類は何か、によって表示義務のある内容を確認し、
次に、(4)どんな価格表示をするか、(5)品質等をどのように表示するか、によって表示の形式の規制を確認し、
さらに、(6)表示の根拠があるか、(7)他人の創作物を使うか、(8)広告媒体は何か、(9)制作を外注するか、(10)広告物の送付方法はどうするか、を別途検討することになる。

(1)広告表示か

一般消費者に対する商品・サービスに関する表示か(様々な表示媒体による)
e.g. 商品本体による表示(容器、包装など含む)、チラシ、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットなど

商品・サービスの広告であれば、必ず景品表示法と不正競争防止法に注意が必要である。

cf. ①景表法とは?処罰件数など
出典:景品表示法・早川行政書士事務所

②事例でわかる景表法
出典:事例でわかる景品表示法

③関係法令など詳細
出典:景品表示法・消費者庁

cf. ①不正競争防止法とは?
出典:不正競争防止法・早川行政書士事務所

②平成27年改正逐条解説など詳細
出典:不正競争防止法・経済産業省

③改正の実務への影響は?
出典:不正競争防止法改正と実務上の留意点・五常法律会計事務所

(2)どの販売方法か

販売方法により必要な表示義務などが異なる。

・通信販売
販売価格や商品の引き渡し時期など消費者に表示しなければいけないこと(特定商取引法11条1項)

cf. 具体的には?
出典:特定商取引法11条・行政書士黒川事務所

・訪問販売、電話勧誘販売
事業者の氏名等の明示義務(特定商取引法3条、16条)や書面の交付義務(同法4条、18条、19条)

cf. 訪問販売のルールは?
出典:特商法講座-訪問販売のルール-・公益社団法人日本訪問販売協会

(3)対象商品・役務が何か

対象商品・役務によって一定事項の表示の禁止、表示事項が定められている場合がある。

以下、代表例

・医薬品、医薬部外品、医療機器
誇大広告の禁止(薬事法66条)、承認前の医薬品等の広告禁止(同法68条)

cf. ①薬事法とは?
出典:薬事法・早川行政書士事務所

②薬事法ルール集
出典:薬事法ルール集・薬事法ドットコム

・食品(健康食品含む)

従来、食品衛生法、JAS法、健康増進法によって規律していたが、平成27年から食品表示法への統合がなされた。
食品の種類によって従来の表記を使える猶予期間が異なる。

cf. ①新しい食品表示制度とは?
出典:安全・健康のため食品を選びやすく!新しい食品表示のルールが始まります・消費庁

②平成27年からの食品表示法とは?(PDF)
出典:新しい食品表示制度<リーフレット・消費者庁

③食品表示法詳細
出典:食品表示法・消費者庁

④(健康)食品に薬事法の適用があるか?
出典:薬事法ルール集・薬事法ドットコム

⑤特定保健用食品の表示Q&A
出典:健康増進法・消費者庁

⑥表示基準の遵守(食品衛生法19条)、虚偽、誇大広告の禁止(同法20条)
出典:食品衛生法・東京都福祉保健局

⑦格付表示の禁止(JAS法18条)、包装材料等の再使用の禁止(同法19条)、表示基準(同法19条の13)
出典:JAS法に基づく食品品質表示の早わかり・消費者庁

・金融商品
説明義務(金融商品販売法3条)、断定的判断の提供等の禁止(同法4条)

cf. ①説明義務違反の概要
出典:金融商品の販売等に関する法律の概要・金融庁

②主に不動産商品なら
出典:金融商品販売法に基づく説明義務及び「勧誘方針」策定義務に関するガイドライン・社団法人不動産証券化協会

・家庭用品
表示の標準、遵守義務(家庭用品品質表示法3条)

出典: 家庭用品品質表示法の仕組み・消費者庁

など

(4)価格表示の方法

販売事業者が価格を表示した場合、一般消費者は、その価格で商品、役務が手に入ると考える。そこで、その価格の認識に齟齬が生じないように以下の⓵~⓷の点に配慮する必要がある。

⓵販売価格
⓶価格が適用される商品・サービスの範囲(関連する商品、サービスが一体的に提供されているか否か)
⓷価格適用の顧客の条件が明確か

eg. 二重価格表示(実売価格に比較対照価格を併記する価格表示)
(↑割引率、割引額の表示、ポイント還元の表示を行う場合も同様)

二重価格表示するには、

⓵比較対照価格が同一の商品であること
同一性は、銘柄、品質、規格等から判断
色やサイズが違っても同一価格なら同一商品、新品と中古やキズ物、旧型は別の物
②比較対象価格が事実に基づくものであること

を満たす必要がある。

cf. 二重価格表示とは?
出典:表示対策・消費者庁

(5)品質等の表示

不当表示(優良誤認(景品表示法5条1号)、有利誤認(同法5条2号))となるおそれがないか。不当表示にあたると、課徴金としてその商品の売り上げの3パーセント最大3年分が課される。

cf. ①課徴金と罰金の違いとは?
出典:景品表示法に違反すると科される課徴金とは 罰金とはどこが違うのか・JCASTニュース
②違反事例と罰則はどの程度?
出典:大手企業も摘発!?景品表示法違反事例と罰則、罰金・薬事法マーケティング

1、訴求内容(表示)の確定
表示全体を見て一般消費者がどう思うか

2、訴求内容と事実のズレ
1と事実にズレがないか

3、打消し表示の必要性、妥当性の確認
公正取引委員会がガイドラインを示している。
原則、ただし書きなどの必要条件を示す「打消し表示」を用いずにアピールすべき。
必要条件を含む強調表示(「高」、「たっぷり」、「豊富」など)する場合は、近い場所に打消し表示を大きく記載するなどの配慮が必要。

cf. ①表示の具体例とポイント
出典:見にくい表示に関する実態調査について・公正取引委員会

②業界No.1の正しい書き方
出典:No.1表示に関する実態調査について・公正取引委員会

(6)表示の根拠が用意されてるか

価格、品質表示等に対応する証拠を予め用意しておく。
・公取委から15日以内の資料提出を求められる場合がある(提出できなければ不当表示とみなされる。景品表示法4条2項)。
客観的な証拠が必要(第三者による試験、調査。可能な限り通説的手法)

(7)他人の創作物の利用するか

他人の権利を侵害している場合と不正競争防止法に抵触する場合は利用不可。

①利用物が他人の権利の対象となるものか
②権利保護期間内か
③権利の制限の範囲内か
④必要な権利者の承諾を得たか
⑤利用方法が適切か
⑥不正競争防止法違反のおそれがないか

(8)広告媒体

媒体の自主基準のチェック
e.g. 民法連放送基準、テレビショッピングガイドライン(日本通信販売協会)、新聞広告掲載基準(日本新聞協会)、プロバイダによる掲載基準 etc.

(9)制作を外注するか

制作を外注する場合は、下請代金支払遅延等防止法の適用の有無、規制について確認する必要がある。

・適用の有無
以下の①②を満たす場合に適用される。
①資本金基準
ⅰ.制作側:5000万円超 外注先:5000万円以下
ⅱ.制作側:5000万円以下 外注先:1000万円以下
②取引内容
広告物は、無償で配るものなので、自家使用にあたる。
そこで、その広告物を反復継続して制作している場合に、外注は「情報成果物作成委員会」にあたり、適用対象となる。

・規制
下請法の適用のある発注者には4つの義務(書面作成、代金の支払)と11の禁止事項(値決め、支払い方法等)が存在する(下記リンク参照)。
出典:下請代金支払遅延等防止法・中小企業庁

cf.取引のポイント
出典:下請法上の取引のポイント・産創館

(10)広告物の送付方法

個人に郵送するか、メールを送付するか

・個人情報の利用
①個人情報をその個人から直接文書等により取得する場合
あらかじめ広告物、ダイレクトメールを送付する旨の目的を明示しておくことが必要(個人情報保護法18条1項)
②個人情報を第三者から取得する場合
ウェブ等に広告物、ダイレクトメールを送付する旨を公表しておくことが必要(同法18条2項)

cf. ①個人情報の定義など
出典:個人情報保護法の解説・不明

②個人情報保護法の詳細
出典:個人情報保護法について・個人情報保護委員

・電子メール
①原則
消費者が事前に承諾しない限り、電子メール広告の送信は禁止(オプトイン制度(特定商取引法12条の3第1項)
②例外(同法12条の3第1項1号ないし3号)
ⅰ.消費者の請求があったとき
ⅱ.消費者に契約の内容や契約履行に関する事項を通知する場合に、電子メール広告をするとき
e.g.すでに契約関係にある事業者と消費者の契約に関する確認のメールに宣伝、広告文が含まれている
ⅲ.電子メール広告の提供を受ける者の利益を損なうおそれがないと認めれるとき
e.g.メールマガジンを利用した場合は、消費者にも納得感があり認められる。
③記録の作成・保存義務(オプトイン制度実効性担保のため)
消費者からの請求や承諾に関する記録を作成し、保存する義務(同法12条の3第3項)

cf. 条文詳細
出典: 特定商取引法第12条の3・行政書士黒川事務所

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