定款変更まとめ
2018/08/17   商事法務, 会社法

1.はじめに

 定款といってもなじみのない方もいらっしゃると思います。そこで今回は、定款の変更に必要な情報についてまとめていきます。

2.定款変更が必要な場合とは?

 会社は、会社成立後に定款を変更することができます。定款に記載されている事項については、絶対的記載事項と相対的記載事項・任意的記載事項があります。

 絶対的記載事項(会社法27条)とは、記載がなければ定款としての効力が生じない事項のことを言います。
【絶対的記載事項についてのリンク】

 相対的記載事項(28条)とは、記載がなくても定款としての効力に影響はありませんが、定款に記載されないと、記載された事項については効力を生じない事項のことを言います。また、任意的記載事項(29条)とは、記載するかどうかは文字通り任意とされている事項のことを言います。
【相対的記載事項・任意的記載事項についてのリンク】

 以上のことから、絶対的記載事項である発行可能株式総数(37条・113条)を増加・減少させたりする場合などには定款の変更が必要です。また、相対的記載事項であっても、株式の譲渡制限に関する定め(107条1項1号)を設定・廃止したり、種類株式(108条1項)の定めを設定する場合には、定款の変更が必要となります。
【定款変更が必要な場合についてのリンク】

3.定款変更手続き

 定款変更が必要な場合、原則として株主総会の特別決議を得る必要があります(466条、309条2項11号)。

 株主総会を開くには、原則として取締役会で開催日時、場所、議題を決定したうえで、代表取締役がその内容を記載した書類を総会開催日より2週間前までに株主に発送して招集しなければなりません。
【株主総会招集手続のリンク】

 株主総会を運営したあとも、議事録の作成が必要です。
【株主総会運営手続のリンク】

 定款変更の際の議事録の記載例としては、以下を参考にしてください。
【定款変更の議事録記載例】

 また、定款変更に伴い、登記等の変更手続きを行う必要があります。
【定款変更に伴う変更手続きのリンク】

 なお、商号変更登記をする場合には、登記申請書・株主総会議事録・(代理人による申請の場合には) 委任状 ・(改印する場合には)印鑑届書、代表取締役の印鑑届出書、印鑑カード交付申請書が必要です。また、商号の変更登記をする場合には、3万円の登録免許税がかかります。
【法務局での変更手続きのリンク】

 さらに、株式の内容として譲渡制限の定めを設ける場合や、種類株式の内容として全部取得条項を設ける場合には、反対株主に株式買取請求権が認められる場合があります。

 株式会社としては、定款変更の効力が生ずる日の20日前までに、当該株主に対して変更する旨の通知を行うか公告をしなければなりません(116条3項、4項)。
 通知の雛形については、以下を参考にしてください。
【通知の雛形】
 公告の方法については、以下を参考にしてください。
【公告方法について】

 株式買取価格については、原則として株主と会社との間の協議で決めることになります(117条1項)。しかし、協議が整わないときは、一定期間内に会社が申し立てをすれば裁判所が価格を決定することになります(同条2項)。
【反対株主の株式買取請求についてのリンク】

4.終わりに

 定款変更は、上記のように変更手続きが重いものであり、株主総会の開催には時間と労力がかかります。また、変更についての登録等費用もかかるので、定款変更は十分吟味した上で行うことをおすすめします。

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