パワハラ原因の自殺を認め遺族と示談 神戸・洋菓子メーカー
2021/07/06 労務法務, 労働法全般, その他

はじめに
神戸市灘区の洋菓子メーカー「ゴンチャロフ製菓」の社員だった男性(当時20歳)が自殺した問題で、遺族が7月2日に会見を開き、同社側がパワハラや長時間労働を認め、賠償金を支払う内容で示談が成立したと明らかにしました。示談は今年6月11日付で成立しました。
事案の概要
代理人弁護士などによると、元社員の男性は2014年に入社した後にチョコレート製造で多量の廃棄物が出た際に「牛の餌をつくっとるんか」と上司から怒鳴られるなどした他に、2015年9月~12月にかけて1か月間で残業が最大100時間を超えうつ病を発症し、2016年6月に他界されました。そして、2018年に労災認定されました。
パワハラとは
厚生労働省の「職場のパワー・ハラスメントの予防・解決に向けた提言取りまとめ」(平成24年3月15日)によると、パワハラ(パワーハラスメント)とは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義されています。
これは、上司から部下に行われるものに限られず、先輩・後輩間や同僚間などの様々な優位性を背景に行われるものも含まれます。
パワハラの法的問題
パワハラが起きた場合、被害者が加害者に対し人格権侵害を行ったとして不法行為に基づき損害賠償を請求し認められた例があります。また、事業者に対し、職場環境を整える義務を怠ったとして債務不履行に基づき損害賠償を請求したり、加害者の使用者としての使用者責任を追及し賠償責任が認められる例があります。
逆に、企業から懲戒処分を受けたパワハラの加害者が懲戒処分の効力を争うこともできます。
コメント
元社員の男性のご冥福をお祈り申し上げます。「ゴンチャロフ製菓」の社長は、「深い哀悼と謝罪の意を表する。二度とこのような悲劇を繰り返さないため、ハラスメント防止や長時間労働の縮減に取り組む」とコメントを残していますが、若い青年の尊い命が失われたという重大な事件を受け、本件に関係のない企業も襟を正していただきたいと思います。
企業法務従事者の方は、パワハラ防止のためのルール策定・実態の調査・教育・パワハラ問題の周知をし、相談・解決の場の設置をしパワハラの予防・再発防止を図るシステムは既にあるとは思いますが、かかるシステムが十分に機能しているかのチェックを改めて行うとよいでしょう。
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奥村友宏 氏(LegalOn Technologies 執行役員、法務開発責任者、弁護士)
登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
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