企業の更なる成長へ ‐産業競争力強化法の概要‐
2014/02/05 法務相談一般, 民法・商法, その他

昨年12月4日に成立し、本年1月20日に施行された産業競争力強化法について、既に複数企業から同法の適用が申請されているようだ。そこで、本稿では、同法について、改めて概要を確認したい。
本法律は、アベノミクスの第三の矢である「日本再興戦略」に盛り込まれた施策を確実に実行し、日本経済を再生し、産業競争力を強化することを目的としている。
具体的には、「企業実証特例制度」による企業単位での規制改革や、事業再編や起業の促進等の産業の新陳代謝を進めることで、産業競争力を強化することを内容としている。
産業競争力強化法の概要
(1)新規事業活動のための規制改革の推進
①グレーゾーン解消制度
企業が新規事業計画に即して、あらかじめ規制の適用の有無を照会し、確認を求めることができる。規制の適用がある場合は、安全性等を確保する措置と合わせ、次号の企業実証特例制度(規制の特例措置の提案)をすることが可能となる。
これにより、企業が新規事業の開始を検討するにあたって、関連する現行の法規制の適用範囲が不明確な分野においても躊躇することなく参入できるようになることが目的である。
②企業実証特例制度
企業の新規事業計画に関する規制について、企業が規制の特例措置を提案し、特例措置の整備を求めることができる。事業所管大臣は、規制所管大臣と連携して、規制の特例措置の整備を検討し、これが整備された場合、企業は、安全性等の確保等を含めた新規事業計画の認定を申請し、企業単位で特例措置の利用を受けることができる。
これにより、企業単位の特例措置を契機として、全国一律の現行の規制のあり方について検討し規制改革をしていくことで、新規事業活動の促進を目指している。
(2)設備投資の促進措置
①生産性向上設備投資への税制優遇
先端設備や生産ラインやオペレーションの改善のための設備について、機械装置、工具、器具備品、建物、建物附属設備、ソフトウェアの減価償却資産について、一定の要件を満たした場合、即時償却または税額控除等の税制優遇措置を受けることができる。
また、中小企業等には、上乗せ措置も設けられている。
②リース手法を活用した先端設備の導入促進
先端医療機器や3Dプリンター等の最先端設備につき設備導入促進法人を指定し、会計上の取扱いを明確化する等、リース手法を活用した設備投資の支援措置を講じる。
(3)ベンチャー企業投資の促進税制
一定の要件を満たし、認定を受けたベンチャーファンドへ出資を行った企業は、出資額の8割を限度として損失準備金を積み立て、損金算入することができる。
(4)事業再編の円滑化
事業再編を促進し、産業活動の新陳代謝を活性化するため、政策的支援の対象とすべき企業による「事業」の生産性の向上を目指す事業活動について、「事業再編計画」、「特定事業再編計画」として認定し、認定を受けた取組みに対して、税制優遇、金融支援、会社法上の特例等の措置を講じる。
コメント
以上、産業競争力強化法について、その概要を簡単に紹介した。
これ以外にも、知的財産権の活用のための特許料の減免措置や地域における創業支援体制強化、国立大学等によるベンチャーファンドへの出資の支援等様々な措置が盛り込まれている。
本法律は、新規事業を計画している企業や先端設備への投資を考えている企業、事業再編を考えている企業等であれば、その規模や業種・業態を問わず関係するものであり、今後多くの企業で利用されていくものであろう。
詳細は、下記経済産業省ウェブサイトの産業競争力強化法該当ページをご覧頂きたい。
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