1.iPSアカデミア 特許使用権、国内初の供与 2.再生医療、2030年に1.6兆円市場へ iPS細胞で成長期待、経産省研究会
2013/02/22   知財・ライセンス, 特許法, その他

概要

1.京都大学の山中伸弥教授が開発したiPS細胞の特許を管理するiPSアカデミアジャパン(京都市)は21日、日本網膜研究所(福岡市)に特許を使う権利を供与したと発表した。再生医療向けのライセンスは仏バイオ企業に続く2件目で国内では初めてである。

日本網膜研究所は理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーらが手がける研究成果をもとに加齢黄斑変性の再生医療事業化を目指すベンチャー。理研などはiPS細胞を使う加齢黄斑変性の再生医療の臨床研究を来年度実施することを目標としている。研究が順調に進めば同社は事業化に向けた臨床試験を実施する。

2.経済産業省は22日、iPS細胞(人工多能性幹細胞)などを用いる再生医療の産業化に関する有識者研究会に報告書案を提示した。再生医療関連産業の市場規模が平成24年の260億円から42年には1.6兆円にまで拡大するとの予測を盛り込んだ。成長性を具体的に示すことで、企業による新規参入を促す狙い。

報告書案は、有識者からなる「再生医療の実用化・産業化に関する研究会」に提示。24年時点での市場規模は、人工皮膚など既に実用化されている製品と、細胞の培養装置などの周辺産業を合わせた金額となる。

将来的には、iPS細胞を使った医療技術の進歩により、再生可能な臓器などの幅が広がり、従来の治療法に置き換わることなどを見込む。それにより、62年には市場規模が3.8兆円に達するとみる。世界全体では24年に3400億円、42年に17兆円、62年に53兆円に拡大すると予測する。

報告書案では、商品化にあたり再生医療の特性を踏まえた審査手続きの導入による審査期間の短縮などを柱とする制度整備を提言。再生医療製品の製造工程の効率化や治験の短縮化などの規制緩和で、製造費用が従来と比べて約2割、治験費用で約6割削減できるとの試算も公表した。

参照条文

(専用実施権)
第七十七条  特許権者は、その特許権について専用実施権を設定することができる。
2 専用実施権者は、設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を専有する。
3 専用実施権は、実施の事業とともにする場合、特許権者の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
4 専用実施権者は、特許権者の承諾を得た場合に限り、その専用実施権について質権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができる。
5 第七十三条の規定は、専用実施権に準用する。

(特許権の効力)
第六十八条  特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を専有する。ただし、その特許権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその特許発明の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。

(通常実施権)
第七十八条  特許権者は、その特許権について他人に通常実施権を許諾することができる。
2 通常実施権者は、この法律の規定により又は設定行為で定めた範囲内において、業としてその特許発明の実施をする権利を有する。

コメント

日本では、京大の山中伸弥教授が昨年、iPS細胞研究でノーベル医学・生理学賞を受賞するなど基礎研究では世界トップレベルを誇るものの、法規制などが障害となって産業化では出遅れている。
経済産業省の報告は再生医療の分野での開発を支援する国の体制を整える動きといえよう。

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