ブラック企業にならないためにまとめ

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1 はじめに

 「ブラック企業」という言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。近年流行している言葉で、2013年にはユーキャン新語・流行語大賞のトップテンにもノミネートされました。
 皆さんは、ブラック企業と聞いてどのような会社を想像するでしょうか。残業代を全く支払わない会社?異常なほどの長時間労働を課す会社?確かに、こういった企業はブラック企業と呼ばれるでしょう。しかし、このようなあからさまに違法な企業ではなくても、世間にブラック企業として認識されてしまう企業は多いのではないでしょうか。
 本稿では、ブラック企業と呼ばれないために、どういった企業が「ブラック企業」とされてしまうのかについてまとめていきたいと思います。

2 ブラック企業とは

 「ブラック企業」という言葉に明確な定義はありません。ブラック企業対策プロジェクトのホームページによれば、「利益のために新卒を使い潰す成長大企業」とされています。後記するブラック企業大賞のノミネート基準は、「①労働法やその他の法令に抵触し、またはその可能性があるグレーゾーンな条件での労働を、意図的・恣意的に従業員に強いている企業、②パワーハラスメントなどの暴力的強制を常套手段として従業員に強いる体質を持つ企業や法人」です。また、ブラック企業の特徴として、「社員を使い捨てにする、低賃金で長時間労働を課す、大量採用と大量離職を繰り返す」などを掲げるものもあります。
 このように、「ブラック企業」という言葉には一定の共通点はあるものの「これがブラック企業だ」と言える定義はないようです。

<「ブラック企業」の定義についてはこちらを参照>

ブラック企業の定義と特徴(労働問題弁護士ナビ)
ブラック企業対策プロジェクトHP
「ブラック企業」の定義は、かなり間違っている(東洋経済ONLINE)

3 厚生労働省の基準

 一方、厚生労働省は、「労働基準関係法令違反に係る公表事案」というものをホームページ上に掲載しています。これは、労働基準関係法に違反したという疑いで送検された企業が掲載されるもので、通称「ブラック企業リスト」と呼ばれています。
 平成29年3月に厚生労働省が発表した資料によれば、ホームページへの掲載事案は以下のようです。

① 労働基準関係法令違反の疑いで送検し、公表した事案(以下「送検事案」という。)
② 平成29年1月20日付け基発0120第1号「違法な長時間労働や過労死等が複数の事業場で認められた企業の経営トップに対する都道府県労働局長等による指導の実施及び企業名の公表について」に基づき、局長が企業の経営トップに対し指導し、その旨を公表した事案(以下「局長指導事案」という。)

 厚生労働省が「ブラック企業」という言葉を使用しているわけではないですが、国がどのような企業を、ブラックであると認識しているかの参考にはなるのではないでしょうか。

<厚生労働省発表資料>

平成28年10月~平成29年8月までの公表事案(PDF)
公表事案の掲載基準(1)(PDF)
公表事案の掲載基準(2)(PDF)(上記掲載事案②に挙げられている資料です)

4 ブラック企業大賞

 インターネット上には、弁護士や大学教授などからなる私的団体によるブラック企業大賞というものもあります。これは、一定の基準により同団体がブラック企業候補としてノミネートした企業の中からウェブ投票などによって、ブラック企業の大賞を決めようというものです。
 ノミネートされた企業が違法なブラック企業であると断言することはできませんが、世間がいかなる企業を問題視しているかの参考にはなるでしょう。

<ブラック企業大賞HPはこちら>

ブラック企業大賞

5 おわりに

 「ブラック企業」に明確な定義はないものの、残業や長時間労働を課す会社に限らず、十分な休憩が取れない職場環境、危険を除去しないままの労働、組合員差別、賃金や一時金の未払い、パワハラ・セクハラといった問題を抱える企業が一般にブラック企業として認識されているようです。
 ブラック企業と呼ばれないためには、以上のような問題を除去していく必要があります。労働者が利用しやすい相談窓口を設置する、労働基準関係法に違反するような状態が形成されていないかを見直し、就業規則・労働契約を改善するといったことで問題の発生を未然に防ぎ、また問題を解決していくことが出来るのではないでしょうか。

<違法残業についてはこちらの記事も参照>

電通事件 社長、違法残業認める(法務ニュース)

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約2年5ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
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[著者情報] furuya

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2008年より中央大学ビジネススクール客員講師(13年より同客員教授)
2016年より2018年まで東京大学大学院法学政治学研究科教授
2019年ベンチャーラボ法律事務所開設

主にベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を取り扱う。

主著として、『業務委託契約書作成のポイント』(共著)、『契約書の見方・つくり方(第2版)』、『ビジネス法律力トレーニング』、『ビジネス常識としての法律(第2版)』(共著)、『シチュエーション別 提携契約の実務(第3版)』(共著)、『会社役員のための法務ハンドブック(第2版)』(共著)などがある。
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