パナソニック、工場の違法残業により厚生労働省の認定を返上

1 事案の概要

 12日、大阪労働局は、工場で違法な長時間残業をさせたの疑いで労働基準法違反により書類送検された大手電機メーカーのパナソニックが、仕事と子育ての両立支援や女性の活躍推進に取り組んだ企業に与える厚生労働省の認定を返上したと発表しました。
 パナソニックは2016年に次世代育成支援対策推進法に基づいた「プラチナくるみん」「くるみん」及び女性活躍推進法による「えるぼし」の認定を取得していました。その一方で、パナソニックは富山県内の工場に勤務する3人の従業員に対し、2015年12月~16年6月の間、労使協定の上限を超える違法な時間外労働をさせた疑いがあるとして3月15日に書類送検されています。
パナソニック株式会社の「えるぼし認定」及び「くるみん認定」・「プラチナくるみん認定」の辞退申出に対する承認・取消について(大阪労働局)

2 くるみんマーク・プラチナくるみんマーク

(1)くるみんマーク・プラチナくるみんマークとは
 くるみんマークは、次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、申請を行うことによって「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けることができるものです。

(2)プラチナくるみんマーク
 プラチナくるみんマークは、くるみん認定を既に受け、さらに高い水準の取組を行っている企業に認定されるものです。
くるみんマーク・プラチナくるみんマークについて(厚生労働省)
次世代育成支援対策推進法(条文)

3 次世代育成支援対策推進法

(1)次世代育成支援対策推進法とは 
 次世代育成支援対策推進法(以下、「次世代法」と言います)では、少子化の進行に対応して、次代の社会を担う子どもたちの健全な育成を支援するため、企業が行動計画を策定することとされています。

(2)一般事業主行動計画の策定・届出について
 企業は、次世代育成支援対策推進法に基づき一般事業主行動計画の策定・届出・公表・従業員への周知することが義務となっています。
一般事業主行動計画の策定・届出等について(厚生労働省)

(3)くるみん認定・プラチナくるみん認定について
 くるみん認定・プラチナくるみん認定は、次世代法の一定の要件を満たし、届け出ることで認定を受けます。

(4)罰則
 行動計画の策定・届出をすることは法律に基づく義務ですが、これに違反した場合の罰則規定は設けられていません。しかし、事業主が届出をしない場合には、国は相当の期間を定めて届出をすべきことを勧告することができます。また、2回目以降の行動計画について策定・届出を行わない事業主が、すでに認定を受けている場合には、その認定を取り消されることがあります。
 なお、認定を受けた者以外の者が、マークの表示又はこれと紛らわしい表示を付すことは禁じられており、罰則(30万円以下の罰金)が科されます(次世代法第26条第1号)。
Q&A – 厚生労働省(41頁)(pdf)

(5)事業主のメリット
①対外的メリット
 くるみん認定を受けると、くるみんマークを広告、商品などに付けることができるようになり、認定を受けた企業であることを対外的に示すことができます(次世代法14条第1項)。これにより、企業のイメージアップや優秀な労働者の確保・定着などが期待されます。
②税制優遇
 くるみん認定・プラチナくるみん認定を受けると、事業所内保育施設や授乳コーナーなど「次世代育成支援に資する一定の資産」について割増償却を行うことができる税制優遇措置(くるみん税制)を受けることができます。
③公共調達
 各府省などでは、総合評価落札方式や企画競争によって公共調達を実施する場合、くるみん認定企業などを加点評価する仕組みを、平成28年度に開始しました。

(6)認定を受けるには
 認定を受けるためには、都道府県労働局に対し、所定の様式で認定の申請書を提出しなければなりません。その後に基準に適合しているかどうかの審査を経て認定されることになります。具体的な認定への流れは下記のサイトを参考にしてください。
 一般事業主行動計画の策定・届出等について(厚生労働省)

 なお、一般事業主行動計画の策定・届出及びくるみん認定・プラチナくるみん認定に関するお問い合わせについては、事業所の所在地を管轄する都道府県労働局雇用環境・均等部(室)及び次世代育成支援対策推進センターでできます。
都道府県労働局雇用環境・均等部(室)お問い合わせ先一覧(pdf)
次世代育成支援対策推進センターについて

(7)取消しについて
くるみん認定・プラチナくるみん認定については、法令に違反した場合などに取り消される場合があります。具体的な認定取消要件については下記を参照ください。
くるみん認定・プラチナくるみん認定の取消しについて(厚生労働省)(pdf)

4 えるぼし認定

 えるぼし認定とは、一般事業主行動計画の策定及び策定した旨の届出を行った企業のうち、一定の基準を満たした上で女性の活躍推進に関する状況等が優良な企業について、厚生労働大臣の認定を受けることができる制度です。
詳細は、下記のホームページをご覧ください。
女性活躍推進法と「えるぼし」認定企業とは

5  コメント

 くるみん及びえるぼし認定をされると、対外的なイメージが良い企業になりますし、税制優遇措置を受けられたり、公共調達がしやすくなるなど大きいメリットがあります。ですので、企業の労務等の担当者は労働局及び次世代育成支援対策推進センターに問い合わせをし、届け出を行ってみて下さい。
 また、くるみん認定は取消される場合がありますので、その要件についても担当者は確認が必要となります。

企業法務ナビよりお知らせ
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[著者情報] chisaka

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平成18年 慶應義塾大学経済学部卒業
平成22年 あずさ監査法人退所
平成25年 中央大学法科大学院修了
平成26年 弁護士登録(東京弁護士会)
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1992年 京都大学法学部卒業
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2000年 ハーバードロースクール 修士課程(LL.M)卒業
Masuda Funai Eifert & Mitchell 法律事務所(シカゴ)
2002年 第一東京弁護士会 登録替 長島大野常松法律事務所
2004年 外立総合法律事務所
2012年 株式会社カービュー コーポレートリーガルアドバイザー    
2016年 法務室長
2018年 AYM法律事務所開設

弁護士会活動(2018年2月現在)
日本弁護士連合会 ひまわりキャリアサポート 委員
第一東京弁護士会 業務改革委員会 委員 

企業法務を中心とした法律事務所に長年勤務した後、2012年からインターネット系企業の法務責任者としてプラットフォームを利用したメディア・コマースビジネスについてのさまざまな法律問題をサポート。
2018年にAYM法律事務所開設 代表弁護士

主な著書
「アメリカのP&A取引と連邦預金保険公社の保護 債権管理 No.96」金融財政事情研究会
「米国インターネット法 最新の判例と法律に見る論点」ジェトロ 共著
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