ラーメン「一蘭」書類送検へ、不法就労助長とは

はじめに

大阪府警は6日、ラーメンチェーン「一蘭」(福岡市)の社長ら3人を入管難民法違反の疑いで書類送検しました。外国人留学生らを違法に働かせていたとのことです。今回は入管難民法が規制する不法就労助長について見ていきます。

事件の概要

報道などによりますと、一蘭の吉富社長(53)、本社労務統括責任者の男性社員(46)、東京オフィスの労務担当責任者の女性社員(39)らは、2017年9月~11月、道頓堀店本館と別館の2店舗でベトナムや中国からの留学生10人を法定上限を超えて働かせていたとされます。同社では店舗の従業員の勤怠管理を本社で行ない、留学生の勤務時間が法て時間を越えようとしていた場合には本社から各店舗にメールで警告がなされることになっていたとのことです。しかしこの2店舗では改善がなされず、最高で月164時間働いていた留学生もいたとされます。

不法就労助長とは

入管難民法73条の2によりますと、①事業活動に関し、外国人に不法就労させた者、②外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者、③業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんをした者は不法就労助長として3年以下の懲役、300万円以下の罰金またはこれらの併科となります。なお在留資格外の就労であること、就労許可を受けていないこと、不法滞在者等であることについて善意無過失であれば該当しません(同2項)。ではどのような場合に不法就労となるのか以下具体的に見ていきます。

不法就労とは

(1)不法滞在
不法滞在には不法残留、不法入国、不法移住などの態様があります。不法残留は外国人が適法に入国したものの、在留期間満了後も出国せず在留している、いわゆるオーバーステイのことです。不法入国とは、上陸許可を受けずに、または偽造パスポートなどを使用して不正に入国することです。そしてこれら不法入国した上で長期間日本に居住することが不法移住と言われます。

(2)無許可就労
外国人の在留資格には様々なものがあります。たとえば留学や研修、文化活動、医療、研究、報道、芸術、宗教などです。観光の場合は短期滞在に当たります。資格それぞれには在留期間が定められており、留学の場合は3ヶ月~4年3ヶ月の範囲、短期滞在は90日、30日、15日以内で決められます。また在留資格には医療、研究、教育などその範囲で就労が認められているものもありますが、留学や研修、短期滞在、文化活動などの場合は原則として就労ができません。しかし法務大臣の許可により週28時間を限度として就労することができます(19条2項)。資格外活動許可と呼ばれます。週28時間に限定されるのは、留学など本来の活動を阻害しないためです。なお許可を得ても風俗営業等には従事できません。

(3)許可を超える就労
上記資格外活動許可が出される場合には資格外活動許可書やパスポートに貼付する証印シールが交付されます。そこには新たに許可された活動内容が記載されます。それには就労する企業名や雇用主、所在地、業務内容などを個別に指定する場合と、風俗営業を除外し週28時間以内でそれらを指定せずに許可を出す包括的許可があります。たとえば料理店でコックとして許可されていたにもかかわらず英語講師をした場合なども許可範囲違反として不法就労となります。

コメント

本件で一蘭は留学生10人を法定労働時間である週28時間を超えて就労させていたとされます。最も長時間就労していた留学生では月164時間、週にすると40時間程度の労働をさせていたことになります。不法就労には法定時間だけでなく上記のように様々な態様があります。また28時間制限に関しても、留学生の場合、夏休み、春休みといった長期休暇の期間内は労基法と同様の週40時間まで就労が可能となります。就労が可能か否か、また不可であっても資格外活動許可を得ているかどうかは在留カードで確認ができます。裏面下部には許可の内容も記載されます。近年労働者不足で外国人を雇用する企業が増加しております。外国人を雇用する際には就労許可を取っているか、どのような内容の許可であるか、またそもそも在留期間を超えていないかを在留カードで慎重に確認し不法就労とならないように注意することが重要と言えるでしょう。

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2000年 ハーバードロースクール 修士課程(LL.M)卒業
Masuda Funai Eifert & Mitchell 法律事務所(シカゴ)
2002年 第一東京弁護士会 登録替 長島大野常松法律事務所
2004年 外立総合法律事務所
2012年 株式会社カービュー コーポレートリーガルアドバイザー    
2016年 法務室長
2018年 AYM法律事務所開設

弁護士会活動(2018年2月現在)
日本弁護士連合会 ひまわりキャリアサポート 委員
第一東京弁護士会 業務改革委員会 委員 

企業法務を中心とした法律事務所に長年勤務した後、2012年からインターネット系企業の法務責任者としてプラットフォームを利用したメディア・コマースビジネスについてのさまざまな法律問題をサポート。
2018年にAYM法律事務所開設 代表弁護士

主な著書
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*7月1日付にてインヴェンティヴ・ヘルス・ジャパン合同会社より社名変更予定

1961年神戸市生まれ
中央大学法学部法律学科卒
立命館大学法務研究科修了
スタンレー電気㈱総務部庶務課法務担当を皮切りに、日本AT&T㈱(米系)契約課長、松下冷機株式会社法務室主事、
セジデム株式会社(仏系)コーポレートサービス部統括部長・法務部長兼任等、を歴任し、現職。
*企業名は当時のまま。
※日本企業・外資系企業双方で通算30年以上の企業法務・国際法務の経験を有する現役の企業法務責任者です。
当社は、東京にて、企業法務パーソン(企業法務担当者・インハウスローヤー等)のためのビジネススクールを運営しています。
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