社外取締役の設置義務化、2年後に再検討へ
2013/11/26 商事法務, 会社法, その他

事案の概要
企業統治の強化を主眼とした会社法改正案が22日、自民党法務部会で了承され今国会に提出される予定となった。
同部会が了承した改正案では、最近のみずほ銀行の暴力団員融資問題などを受けて高まっている社外取締役の設置義務化の声に配慮した形で、上場企業が社外取締役を選任していない場合、「定時株主総会において理由をしなければならない」との条文が追加され、法案の付則には、社外取締役の設置義務化は法の施行から2年後に再検討し、必要なときは「社外取締役を置くことの義務付けなど所要の措置を講ずる」と明記されることとなった。
今回の会社法改正では、取締役会の監督機能の強化を目指した監査・監督委員会設置会社制度や親会社株主の保護を目指した多重代表訴訟が盛り込まれているが、社外取締役の設置義務化については、経団連などの反対により義務化は見送られていた。
コメント
大王製紙やみずほ銀行の例を受けて、企業統治の観点から社内のしがらみに左右されず意見を述べることのできる社外取締役の重要性がますます認識されることとなった。
「経営の適正な監督を行うことができるか否かは、社外取締役であるといった形式的な属性では」決まらないとの経団連の主張もあるが、社外取締役の比率が総じて高い海外の事情を考慮すれば、機関投資家からの評価やグローバルな事業展開を目指す上で社外取締役を設置する企業は増えていくものと予想される。
東証コーポレート・ガバナンス白書2013によれば、2012年現在、東証上場企業の中では、54.7%(前年度5.9ポイント増)と過半数の企業が社外取締役を導入し、社外取締役を選任する動きは高まっているようだ。
今回の会社法改正を受けて、東証などが上場規則で社外取締役選任の努力義務を課す改正案を準備していることも後押しとなるだろう。
しかしながら、社外取締役を導入する企業が増えていることと、設置を義務化する必要があるかどうかは別の問題である。次に社外取締役の設置義務化が再検討されるまでの間に、企業統治のあり方についてさらに議論が深まることを期待したい。
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