どうなる会社法改正の行方
2013/10/23 法改正対応, 法改正, 会社法, その他

概要
政府は臨時国会に会社法改正案を提出する予定である。その内容は、法制審議会会社法制部会が昨年9月に法務大臣に答申した、会社法制の見直しに関する要綱(以下、改正要綱という)の内容を踏襲したものであると考えられる。改正要綱の全容は法務省のウェブサイトにおいて閲覧できるが、細かい事項も含まれるので、特に重要と思われるものについて紹介する。
改正要綱は、(1)企業統治のあり方(改正要綱第一部)、(2)親子会社に関する規律(改正要綱第二部)、(3)その他(改正要綱第三部)から構成されている。
・監査・監督委員会設置会社制度(仮称)
株式会社の機関設計として、「監査・監督委員会設置会社(仮称)」を新設する。機関設計のイメージとしては、監査役会設置会社と委員会設置会社の中間的なものになるだろう。
①監査・監督委員会設置会社には、取締役会及び会計監査人を置かなければならないものとする。
②監査・監督委員会設置会社は、監査役を置いてはならないものとする。
③委員会設置会社は、監査・監督委員会を置いてはならないものとする。
・社外取締役・社外監査役に関する規律
社外取締役の義務付けについては、改正要綱では見送られた。ただし、監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)のうち、金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を提出しなければならない株式会社において、社外取締役が存しない場合には、社外取締役を置くことが相当でない理由を事業報告の内容とするものとする、とされた。
・多重代表訴訟
株式会社の最終完全親会社の総株主の議決権の100分の1以上の議決権又は当該最終完全親会社の発行済株式の100分の1以上の数の株式を有する株主は、当該株式会社に対し、発起人、設立時取締役、設立時監査役、取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人又は清算人の責任を追及する訴えの提起を請求することができるものとする、とされた。
コメント
社外取締役を置くことが相当でない理由を事業報告の内容とする、という意味が、社外取締役を置くことが相当でない理由というのが何であるのかということを各社の事情に応じて説明する必要があるという趣旨だとすると、その記載は簡単ではないだろう。また、社外取締役等の要件の厳格化は、新たに要件を満たす適切な候補者を探し、選任をするという手続が必要になるなど、実務に大きな影響を与えることになる。施行まで十分な期間を置くとともに、移行に当たり十分な経過措置を設けるなどの配慮が必要になるだろう。
また、多重代表訴訟の導入により、該当する中小・中堅企業において、親族間の争いが多重代表訴訟という形で企業に持ち込まれる可能性がある。こうした懸念を少しでも払拭できるように、例えば担保提供制度等について、立法上、しっかりとした濫訴防止措置とすると同時に、国民や企業にとって十分かつ丁寧な説明が必要であると考えられる。
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