世界のパソコン違法コピー番付に関する考察
2012/05/17 知財・ライセンス, 特許法, IT
事案の概要
ビジネスソフトウェアアライアンス(BSA)は、世界のソフトウェアの違法コピーによる損害状況を調査した「BSA世界ソフトウェア違法コピー調査」(違法コピー番付)の9回目の結果を発表した。
今回の違法コピー番付において、「違法コピー率部門」では、日本は世界で3番目に違法が少ない21%となっている。ただし前回は最も少なかったので、順位は2位落としている。今回の1位は米国の19%、2位はルクセンブルクの20%。最も多いのはジンバブエの92%だった。
日本の経済的損失は18.75億USドル(約1,500億円)で、損害額換算部門で日本は1,875%となり、世界で10位の損失額となった。損失額の1位は米国の9.773%であり、2位は中国の8.902%だった。
また違法コピーに関する調査では、利用者の3人に1人は「ときどき」もしくは「まれに」違法コピーをするという回答結果が出るなど、日本のコンピュータ利用者で違法コピーソフトを取得した利用者の割合が39%であることが判明した。さらに、法コピーを行っている人々のうち、14%が「いつも」「ほぼいつも」もしくは「ときどき」ソフトウェアを不正に入手していると回答しており、「まれに」行っていると回答した人の割合も25%に達した。
ちなみに性別では男性が過半数を、世代別では18歳から44歳が約7割を占めた。
今回の調査結果について、BSA日本担当共同事務局の竹下事務局長は、「もし39%の消費者がソフトウェアを万引きすると予告すれば、実行されるかどうかに関わらず、当局は警察によるパトロールや罰則の強化によって対応するだろう。ソフトウェアの違法コピーについても、これと同様の対応が求められている。組織的な教育や法律の厳格な適用が必要だ」とコメントしている。
コメント
今回の調査では、いわゆる途上国ほど違法コピーの件数が多い傾向にあるという結果になった。だが金額では先進国の方が被害が大きいという結果も出ており、違反1件当たりの損害額は先進国の方が圧倒的に大きいといえるだろう。
日本でも件数は少ない方から3番目だが金額は多い方から10番目であり、状況は先進国と同じである。高価なソフトウェアに関しては何らかの対策を講じることが望ましい。
もちろん取り締まるに越したことは無いが、パソコン上での違法行為は犯罪の存在に気付かないことも多く、何らかの形で被害を把握できるような工夫が必要だ。また取り締まりを全てのソフトで行うか、範囲を限定するか、限定するとしたら境界線とその根拠はどのように示すのか、実行する前に考えるべきことが多い。
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