株主総会レポート GMOインターネット株式会社 その4(質問後編)
2012/04/13   商事法務, 総会対応, 会社法, IT

GMOインターネット株式会社 「すべての人にインターネット」

はじめに

引き続き、GMOインターネット株式会社 第21期定時株主総会のレポートを書いていきます。今回は株主総会での質問、回答の後編です。

質問⑦

質問者
「グループ会社戦略についてです。上場子会社が何社かGMOインターネットグループにございますが、一部の動きとしては上場子会社を廃止するというところもあると思います。この点、GMOグループにおいてはどうお考えでしょうか。」

熊谷氏
「二つ説明させていただきます。まず、私どもがなぜグループ会社を上場させているかと申しますと、勝つために必要だから各社を上場させております。具体的な事例で説明いたしますと、私どもと同じく東証一部に上場させていただいておりますGMOペイメントゲートウェイという非対面カード決済で国内トップシェアのグループ企業がございます。皆様ご承知の通りカードを取り扱う際には、会社側に非常にレベルの高いセキュリティが求められます。よって、GMOペイメントゲートウェイは、セキュリティに関してかなりの投資を行い、様々な資格を有しておりまして、手続きの一つ一つが通常のインターネット企業に比べまして、複雑となっており、良い意味での煩雑さを伴っております。このようなセキュリティの基準というものは事業部に対していただくことは難しく、結局会社全体で審査される訳でございます。グループの一部門で決済事業を行っておりますと、グループ全体がそのセキュリティレベルに対応しなければならなくなってしまいます。もちろんブログをしているメディア事業においてもセキュリティは大事なのですが、そうなると過大な投資をしなければならなくなってしまいます。こうなると、スピードも落ちてしまいますので、やはりこれは別の法人としてその基準を満たすことが必要であると考えております。なおかつ、社会的な信用を得るためには、東証一部に上場するということは実にわかりやすい社会的信用の表れでございます。今のは一事例でございますが、このような必然性がございまして、グループ各社が上場をしております。まずこれが一つ目の理由でございます。二つ目でございますが、いわゆる財閥系上場グループというものがございます。例えば三井さん、住友さん、三菱さん等です。財閥系上場グループは、企業コードを検索するときに名前を入れて検索いたしますと、少なくて17社、多いところでは23社程出てくると思います。そのそれぞれが、当初はグループだったのですが、今は冠を同じくしてそれぞれの分野で日本を支える企業グループとなっているわけでございます。私はまさにあのような形を思い描いておりまして、50年後、100年後には、GMOと検索すると20社、30社出てきて、そのそれぞれが日本を或いは世界を支える大企業になっているだろうと考えております。様々な意見はございますが、これらの思いから、私はグループ会社の上場は正しいと考えております。」

質問⑧

質問者
「長年株主をさせていただいている者ですが、株主優待の件で質問いたします。GMOとくとくポイント2000ポイントは利用させていただいておりますが、GMOグループサービス利用料5000円割引については、中年者やご高齢の方にとってはなかなか利用できていないといった状況だと思います。こちらの方をとくとくポイントの方に移行する選択権やオリジナルグッズ販売、クマガイスタイルSHOPの商品充実などでカバーしていただければと思っております。」

熊谷氏
「ご質問、ご指摘、ご意見ありがとうございます。ご指摘いただいたように、前回、ご高齢の方にはサービス利用が難しいというご指摘をいただきまして、そのような株主様向けのインターネット教室を開催しますという公約をさせていただきました。その後、東日本大震災等がございまして、ばたばたしておりましたが、今回、形を変えて総会会場外に私どものサービスの個別相談会と説明ブースを設けまして、あの時の公約をこれに代えさせていただきたいと思っております。そのような思いをお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非ブースをご利用いただきたいと思っております。そして、グループサービス利用料をとくとくポイントに移行という件に関しましては、慎重な検討を今後チームでさせていただきます。株主の皆様により一層お喜びいただけますように様々な点を分かりやすく、或いは問い合わせ窓口を充実させる等してまいりたいと思っておりますので、ご期待いただきたいと思います。ご指摘ありがとうございます。」

質問⑨

質問者
「会社の内容と株価が伴っていないと感じるのですが、ここのところはどう思っていますか。」
「配当金についてです。去年も言いましたが、年4回の配当ではなく2回にしてコストを減らすというのはいかがでしょうか。」

熊谷氏
「ご質問ありがとうございます。まず、株価につきましては、マーケット(皆様)がお決めになることなので私が言うのは不遜でございますが、私が信じている私どもの力や将来性からすると現在の水準は極めて低いと思っております。私も株主の一人でございますが、一切売らずに持ち続けて信じております。私どもができることというのは、社会に貢献する最高のサービスを作り、多くのお客様に喜んでいただいて、結果として業績を上げ、それをマーケットに正しくお伝えするによって正しい企業価値に近づくように努力をするということでございます。現在の株価は、この活動につきましてまだまだ足りない点があるというご指摘であると思っております。より強化して、正しい企業価値になるよう役員全員が努力することをお約束いたします。不甲斐無い株価で本当に申し訳ないと思っております。」

「四半期配当の件でございますが、ご指摘をいただきまして検討いたしました。確かにおっしゃる通り手間とコストが掛かっております。具体的には一回に対して1000万程コストが掛かっており、2回を4回にいたしましたので、2000万程コストが増えております。確かに四半期配当を2回にすることによって2000万円の節約ができるのですが、四半期配当を楽しみにされている株主様も多数いらっしゃるということもございますし、日本はまだ四半期配当は少ないのですが、欧米では当たり前という状況でございます。私といたしましては、四半期配当は今後増えてくると思っております。ご指摘の通りコストや手間が増えているのですが、全体の収益力からすると僅かでございますので、四半期配当で多くの株主様に年4回笑顔になっていただきたいと思っておりまして、このまま続けさせていただきたいと思います。四半期配当に反対する株主様が過半を超えるようであればすぐに変更いたしますので、事務局の方できちんと声を反映させていきたいと思います。とりあえず、今年は続けさせていただきたいと思っております。ご質問、ご指摘ありがとうございます。」

質問終了

全ての質問に議長の熊谷氏が答えていらっしゃいました。
当たり前なのかもしれませんが、一つ一つの質問に自ら受け答えされていたのでしっかりした方だなと思って聞いていました。
また、回答の終わりには必ず「ご質問の回答になっておりますでしょうか。」と質問者に聞き、さらに質問がある場合には答えるという対応をされていたので、大変誠実な方だなという印象を持ちました。(説明義務との関係もあると思いますが)
質問時間は約1時間ありました。他の株主総会に出席したことがありませんので比べることはできませんが、時間的には十分な時間を用意してくださっているのではないでしょうか。

次回予告

次回は採決~総会終了まで書いていきます。総会レポート自体は次回で終了ですが、最後にまとめとして株主総会で法律上問題となり得る点をまとめていきたいと思っておりますので、よろしければそちらも合わせてご覧ください。

関連リンク

株主総会レポート GMOインターネット株式会社 その1はこちらから

株主総会レポート GMOインターネット株式会社 その2(質問前編)はこちら

株主総会レポート GMOインターネット株式会社 その3(質問中編)

株主総会レポート GMOインターネット株式会社 その5

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