厚生労働省、パワハラ(パワーハラスメント)を6類型に分類
2012/02/02 労務法務, 労働法全般, その他

厚生労働省、パワハラ(パワーハラスメント)を6類型に分類
事案の概要
1月30日、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」は、パワーハラスメント問題の予防・解決に向けた労使や関係者の取組を支援するために、その概念や取組例を整理する報告書をまとめた。
報告書(下記リンク1.参照)によれば、パワーハラスメントは以下の6類型に分類される。
具体的な攻撃 (例)暴行・障害 | 精神的な攻撃 (例)脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言 |
人間関係からの切り離し (例)隔離、仲間はずし、無視 | 過大な要求 (例)業務上不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害 |
過小な要求 (例)能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、仕事を与えない | 個の侵害 (例)私的なことに過度に立ち入る |
また同報告書は、上司からの行為だけでなく、部下や同僚からのいじめや嫌がらせもパワハラに含めるべきであると提案している。
所感
従来いわゆるパワハラ問題については、どのような行為ががパワーハラスメントなのかについて、具体的な定義付けと、それに基づく対策が難しい状況にあった。というのも、法令上の定義は存在しなかったのである。
そこで、過去の裁判例では「パワーハラスメントとは、組織・上司が職務権限を使って、職務とは関係ない事項について、あるいは職務上であっても適正な範囲を超えて、部下に対し、有形無形に継続的な圧力を加え、受ける側がそれを精神的負担と感じたときに成立するものである」といった定義が訴訟当事者から主張されたこともある(関連リンク2.)が、やはり具体的な定義とはいいがたい部分がある。
上記6分類が、パワーハラスメントの定義について公的な基準を提供し、パワーハラスメントの防止、解消に寄与することは間違いないと思われるが、これを生かせるかはひとえに企業法務の取り組み如何ということになろう。
また、部下や同僚からの行為への示唆も、実務上重要である。
関連リンク
1.職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告について
2.名古屋南労基署(中部電力)自殺事件(名古屋地判H18.5.17)全文
関連コンテンツ
新着情報
- 弁護士
- 髙瀬 政徳弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階
- 弁護士
- 原内 直哉弁護士
- インテンス法律事務所
- 〒162-0814
東京都新宿区新小川町4番7号アオヤギビル3階

- ニュース
- 都内大手ホテル15社、価格カルテル(独禁法)のおそれで公取委が警告へ2025.4.21
- 都内の大手ホテルを運営する15社が客室単価などの情報を共有していた件で、公正取引委員会が独占禁...

- 業務効率化
- 鈴与の契約書管理 公式資料ダウンロード

- まとめ
- 中国:AI生成画像の著作権侵害を認めた初の判決~その概要と文化庁「考え方」との比較~2024.4.3
- 「生成AIにより他人著作物の類似物が生成された場合に著作権侵害が認められるか」。この問題に関し...

- 解説動画
加藤 賢弁護士
- 【無料】上場企業・IPO準備企業の会社法務部門・総務部門・経理部門の担当者が知っておきたい金融商品取引法の開示規制の基礎
- 終了
- 視聴時間1時間

- 業務効率化
- 法務の業務効率化

- 解説動画
浅田 一樹弁護士
- 【無料】国際契約における準拠法と紛争解決条項
- 終了
- 視聴時間1時間

- セミナー
登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
- 登島さんとぶっちゃけトーク!法務懇談会 ~第15回~
- 終了
- 2025/04/23
- 19:00~21:00