母親の彼氏に虐待を受けた女児。同級生の後押しで警察へ駆け込む。
2011/11/30 法務相談一般, 民法・商法, その他
母親の彼氏に虐待を受けた女児。同級生の後押しで警察へ駆け込む。
大阪府警摂津署は28日、交際中の女性(33歳)の小学5年生の次女の顔を十数回平手で殴り、まぶたなどに1週間の怪我を負わせたとして、大阪市立豊里小校務員・福永敦哉容疑者(38歳)を傷害の容疑で逮捕した。
顔を腫らした女児が福永容疑者から暴行を受けたことを同級生に告白、その後、同級生5人に付き添われて同署を訪れ、被害を訴えたことで事件は発覚した。
事件の概要
福永容疑者は週1~2回、摂津市内にある交際中の女性方(2人の子ども含む3人暮らし)を来訪していたが、今年9月29日午後9時頃、女性の自宅で、「しつけ」を理由に、次女の顔を十数回平手で殴った。
次女の担任は、顔が腫れていることに気付き、問い詰めたが、次女は「自転車で転んだ」と福永容疑者による暴行の事実を隠していた。
次女はその2日後の10月2日、同級生に「新しいお父ちゃんに叩かれた」と説明。その日の夕方に同級生ら5名が、摂津署に次女を連れて行ったという。直後に次女は「府吹田子ども家庭センター」に一時的に保護された。
福永容疑者は容疑を認めているという。
最近の母親の彼氏による虐待事例
■大阪、3歳児、ポリ袋窒息死事件
今年3月に、20歳の男(無職)が、しつけと称し、内縁の妻の3歳の長男を手足を縛ったうえでポリ袋に入れて袋を閉じ、窒息死させた事件。長男がゴミ箱にゲーム機を捨てたことを懲らしめるためのしつけというのが犯行の理由。裁判所は、長男が意識喪失後にすぐに救助しようとした点を評価し、懲役6年を言い渡した。
■岐阜、6歳児、顔面殴打事件
今年9月に、20歳の男(無職)が、しつけと称し、同居中の女性(28歳)の6歳の長男を複数回にわたり、顔を殴る・足を蹴る・ビニールひもで両手を縛るなどの暴行を加えた事件。
■愛媛、2歳児、顔面殴打事件
昨年4月に、26歳の男(朝日新聞配達員)が、しつけと称し、同居中の女性(27歳)の2歳の長男の顔を殴り、軽傷を負わせた事件。5月2日に、JR伊予西条駅前を一人で歩いていた長男が保護され、顔などにあざがあったことから、事件は発覚した。
■東京、5歳児、肝臓破裂事件
今年1月に、38歳の男(無職)が、しつけと称し、同居中の女性(31歳)の5歳の息子の腹を蹴り、肝臓損傷の重傷(全治3か月)を負わせた事件。男児は暴行を受けた翌日、腹痛を訴えて複数の病院を受診。 病院側から連絡を受けて事件は発覚した。
雑感
「交際相手との関係を壊したくない、交際相手に気に入られたい」。このような心理から、交際相手の虐待から自分の子供を守れず、周囲にも打ち明けられない母親、一緒になって虐待をしてしまう母親が少なくないという。周囲からの孤立感、交際相手に依存せざるをえない環境が、今回のような事件を誘発する原因の一つと言えるであろう。
今回のような児童虐待については、厳罰化を求める声もあがっている。しかし、虐待を行う者(見過ごす者)の心理状態は、やはりどこか正常な感覚を失っている場合が多い。
「刑罰が重いから彼に虐待をやめさせよう。一緒に虐待をするのをやめよう。」という冷静な思考に基づく判断を行う公算は低いと考えられる。
厳罰化よりも、現代の母親が陥りがちな、周囲からの孤立化(核家族化を原因とする親族のサポートの不足等)の予防に力を入れることこそが、根本的な問題の解決に繋がるのではないだろうか。
一方で、今回のように、最終的に子供を守るのは子供自身であるとも言える。何をもって「虐待」というのか、どうすればその状況を脱出できるのか等の学校教育を施し、その上で、虐待を受けた際に先生や周囲に相談出来る体制作りが出来れば、児童の虐待死のような悲惨な結末を減らせるのではないか。
前述のように、近年、児童虐待は増加の一途をたどっている。そろそろ、国民全体で、児童虐待の撲滅に向けた積極的な意見を交わす時期に来ているように思う。
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