法科大学院は失敗?
2011/11/25 法務採用, 民法・商法, その他
1.法科大学院、さっそく仕分け?
「定員適正化を計画的に進め、あり方そのものを抜本的に見直す」
11月21日、政府の行政刷新会議における提言型政策仕分けで、このような提言がされた。合格率の低迷や入学者の定員割れ等の問題を抱える法科大学院制度に対して、解決を迫った形だ。今後、法科大学院のさらなる定員削減や、大学院に対する補助金の削減が予想される。
2.多すぎた法科大学院
法科大学院は司法制度改革の目玉として、法曹に必要な学識と能力を培うことを目的として設立された専門職大学院だ。従来の事前規制型社会から、事後規制社会へと産業規制の在り方を移行させ、経済活動がよりスムーズに行われるようにするための下地作りの目的もあったとされる。
だが、法科大学院の乱立により大きな問題を生じる結果となった。
新司法試験受験者の7~8割を合格させ、合格者の目標は約3000人とするという当初の触れ込みに対して、現実には合格率は2~3割程度。平成23年度の合格者は数にして2000人程度にとどまる。
また試験に合格しても、急増する法曹を社会が受け入れきれず、司法修習生の就職活動も困難な状況にあるという。
3.法科大学院進学はギャンブル?
法科大学院全体の定員は平成20年度に約5300人であったのに対し平成23年度には約3600人に落ち込んだ。それでも定員割れに陥る法科大学院が出てきている。法科大学院を卒業しただけでは、就職等で特に有利になるわけではない。新司法試験の合格率を見て、法科大学院へ進学することがかなり投機的な行為とみられているのだろう。
「法曹志願者が激減しているんですね。法科大学院の失敗なんですよ。本当に抜本的見直しをしないと、国家の危機になります」というのは弁護士出身の階猛衆院議員だ。
司法試験に受験者全員を合格させていては法曹の質を保つのは難しい。だが合格者を絞った結果、優秀な法曹志願者が集まらなくなれば、これまた法曹の質を保てない。司法権は三権の一つであり、国家機能の中枢を担う重要性を持つ。それを担うに足る人材を今後とも確保し続けるにはどうすればよいのだろうか。
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