司法修習生の貸与制確定か?
2011/11/02 法務採用, 民法・商法, その他

概要
民主党は1日、今月末から始まる司法修習から、国が全修習生に給与を支給する「給費制」を、希望者に資金を貸し付ける「貸与制」に移行させる政府方針を了承した。これを受けて政府は今臨時国会に、貸与制を基本として、困窮者に返済猶予措置を講じることを盛り込んだ裁判所法改正案を提出することになる。
政府は今年の8月、「法曹の養成に関するフォーラム」において、貸与制への移行方針を確認した。しかし、民主党内には「給費制存続」を強く訴える声もあり、法務部門会議で方針が決まらなかったため、政策調査会の幹部会で党としての結論を出した。
雑感
復興財源のうんぬんが議論されている中では、貸与制に移行することは半ば仕方がないものと思われる。ただ、これによって法科大学院在学中から奨学金を借入れている者は、深刻な就職難と給与水準の低下から、返済猶予措置がとられたとしても返済も困難が予想される。
前原氏は記者会見で廃止理由について、「私も父を亡くしてから奨学金を活用し、中、高、大学と学ばせてもらった。借りたものは返済することが法曹界に限らず基本だと思う」と説明。経済的な困窮者には返済猶予措置を講じると強調したとのことであるが、現状認識が出来ているとは到底思えない。
法科大学院の上位校出身者で若くして合格し、大手の渉外事務所に勤めることができれば大した問題ではないのかもしれないが、就職できず、即独する者、軒弁になる者にとっては深刻な問題であり、法曹界が今後、多様な人材を確保することは困難と言わざるを得ない。
話が矛盾してしまうが、個人的には、このようなすったもんだで混乱をするくらいならば、昨年から貸与制にしておくべきであったと感じる。昨年は、既に裁判所法で定められていた貸与制を、思いつきとも思えるような時期に、なかばゴリ押しの形で給付制が維持された。2010年度から貸与性であることを覚悟して入学した者にとっては、言い方は悪いが、ラッキーだったとしか言いようがない。今年はあっさりと決まってしまったのを見ると、一体あの騒ぎは何だったんだという気になってしまう。
今年の某有名修習生が、ある場所で、AD並みの給料で生活が大変だという趣旨の発言をしたとの情報もあるが、そういう者がいることには腹立たしいく思っている者もいるのではないか。
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