東証の危機感
2011/10/27 コンプライアンス, 民法・商法, その他

上場企業への要請文
今月26日、東京証券取引所と同取引所の自主規制法人は、上場企業に対し企業統治体制を強化するよう求めるコメントを発表した。東証が、このようなコメントを発するのは異例のことである。
このようなコメントを発した理由は、大王製紙で、前会長に取締役会の決議を経ないまま多額の貸付がされる事件や、オリンパスで過去の買収の際にアドバイザーに不透明な支払いがされたとの内部告発がされるなど、企業統治の必要性が増している状況にあるからである。企業価値を損なう経営を行う企業が上場企業に存在していると知り、投資家から批判が寄せられたり、投資家の市場への不安視が生じたりしていることに対応しての、コメント発表なのである。
企業としての対策
コンプライアンスの徹底は、近年ではかなり企業で重視されていることであると思う。しかし、それでも最近の一連の事件のように、起きてしまう。しかも、かなり大規模での法令違反や、疑惑である。となれば、まだまだ法令を守り、健全な経営を行う意識や体制が、上層部を含めた組織の隅々まで行き渡って居ないということであろう。
健全な経営の前提となるコンプライアンス部門の強化が、まだ必要な段階にあるならば、法令を知り、使うことのできる人材を採用することに積極的になることは、対策の一つとして挙がっても良いと思う。その人材リストの筆頭に来るものとして、修習出たての弁護士というものがあるのではないか。
そもそもは東証離れへの危機感か?
不正を行う企業が横行すれば、リスクが高くなり内外問わず投資家が逃げるのは必至であろう。そしてそれは、東証での取引量の減少を意味する。ただでさえ、バルス(フランフランの運営会社)のような有名企業のMBOによる上場廃止や、新興企業のアジアでの上場計画など、日本の証券取引所から企業が離れる傾向が生じつつあるので、取引量を減少させる要因は備えていた。
その上での一連の不祥事発生なので、東証としても、より多くの投資家を惹きつけるための策を講じる必要がでてきたということなのかもしれない。
【関連リンク】
- 上場会社を巡る最近の諸問題を受けた要請 - 東京証券取引所(リンク切れ)→アーカイブ
関連コンテンツ
新着情報
- 弁護士
- 福丸 智温弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- 弁護士
- 片山 優弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階

- 解説動画
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】新たなステージに入ったNFTビジネス ~Web3.0の最新動向と法的論点の解説~
- 終了
- 視聴時間1時間15分

- 業務効率化
- Legaledge公式資料ダウンロード

- 業務効率化
- Hubble公式資料ダウンロード

- ニュース
- インド – 証券の電子化対応の期限延長2025.6.19
- NEW
- インド政府は、非公開有限会社(Private limited company)に対する証券の電...
- セミナー
松永 倫明 セールスマネージャー(株式会社Cyberzeal、Viettel Cyber Security所属)
阿久津 透 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所/東京弁護士会所属)
- 【オンライン】経営と法務が備えるべきサイバーリスク~サイバー攻撃被害の現実と予防策〜
- 終了
- 2025/05/29
- 17:30~18:30

- まとめ
- 中国「データ越境移転促進・規範化規定」解説2024.4.23
- 中国の現行法令上, 香港・マカオ・台湾を除く中国本土内(「境内」)から境外への個人情報等の移転...

- 解説動画
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】今更聞けない!? 改正電気通信事業法とウェブサービス
- 終了
- 視聴時間53分