大王製紙は膿を出しきれるのか?
2011/10/18 コンプライアンス, 民法・商法, メーカー
概要
9月16日、大王製紙株式会社は、複数の子会社から総額80億円超を借り入れたとして井川意高前会長が辞任したと発表したが、その事件の全容は未だに不明な点が多い。会社の設置した特別調査委員会の調べによると、上記80億円とは別にさらに約22億円を井川前会長が関連会社から借り入れていることがわかった。結局、借入総額合計は100億円を超えることになる。
事件発表後の今月7日、同社は保有株式などの価格下落に伴う投資有価証券の評価損として、平成23年9月中間期に12億1600万円の特別損失を計上すると発表した。これにより、同社は9月中間連結決算で、赤字転落の可能性が高まった。
また、東京地検特捜部は今月16日、会社法違反(特別背任)の疑いで、井川前会長の立件を視野に捜査に乗り出す方針を固めた。
雑感
この事件は、借入金額が巨額であること、前会長が真相解明に協力的でないことといった理由により刑事事件に発展すると思われる。会社としても告訴を検討しているという。これだけの不祥事が発覚だけでも充分に経済的損失が大きいというのに、特別調査委員会を設置しても真相が解明しきれず、自社の元トップを告訴せざるを得ないとは企業として情けない。
しかし、告訴をすれば取締役会、監査役等の責任が免罪になるわけではない。会社は告訴権者であると同時に、他のステークホルダーから見れば、共同加害者であるということを忘れてはなるまい。前会長への制裁は当然だが、他の経営陣の反省点、責任も明確にした調査報告書が出ることを期待している。
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- 潮崎明憲 氏(株式会社パソナ 法務専門キャリアアドバイザー)
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- 終了
- 視聴時間1時間27分