不起訴処分は本当に妥当か?
2011/09/20 訴訟対応, 刑事法, その他

1.概要
九州などの弁護士ら24人が9月20日、鹿児島県阿久根市の竹原信一前市長(52)の背任容疑を不起訴とした鹿児島地検の処分を不服として、鹿児島検察審査会に審査を申し立てた。
鹿児島地検は、7月28日に「違法と判断できない」として、前市長を不起訴処分にしていた。
2.検察審査会とは
検察審査会制度とは、昭和23年に始まり、選挙権を有する国民の中からくじで選ばれた11人の検察審査員が,検察官が被疑者(犯罪の嫌疑を受けている者)を裁判にかけなかったことのよしあしを審査する制度。
検察審査会に対する申立をすることができるのは告訴者、告発者、事件についての請求をした者、犯罪被害者(被害者が死亡した場合においては、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹)である。(検察審査会法第2条2項、第30条)
平成22年度は2273件の申し立てがされているうち、起訴相当とされたのは10件である。(検察審査会のホームページより)
議決には、不起訴相当、不起訴不当、起訴相当の三種類がある。
3.背任罪とは
背任罪は刑法247条に規定された犯罪類型の一つである。
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときに成立し、この犯罪を犯した者は五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処せられる。最近では、2010年に元衆議院議員の浜田幸一氏が借金の担保として差し出した株券を勝手に売却し、融資元の会社に2億円の損害を与えたとして、背任容疑で逮捕、起訴されている。
4.雑感
訴追権限を一部の国民に付与することによって、適正手続によらず人権が不当に脅かされるといった、
憲法違反のおそれが指摘されている。しかし、検察と被疑者以外に、刑事司法手続に国民の意見が反映されるという点で、重要な制度である。
裁判員制度が本格的に開始され、国民の司法に対する関心が高まっている昨今、検察審査会の意義についても活発に議論がなされることが期待される。
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