警察官が警察官を告訴 広がるパワハラ被害
2011/08/09 労務法務, 労働法全般, その他

警察官が上司を傷害罪で告訴
京都府警の30代巡査長が、40代警部の上司からパワーハラスメントを受け、うつ病になったとして、傷害罪の告訴状を京都地検に提出していることが関係者への取材で明らかになった。告訴状によると、同警部は昨年7月から今年の1月にわたり、同巡査を同僚の前で「おまえは必要のない人間」「行儀が悪い人間」などと長時間叱責したり、同巡査の仕事ばかりを執拗にチェックするといった行為を繰り返したという。巡査長は3~4ヶ月の休養を要する重度のうつ病と診断されている。
実は、警察内部でのパワハラ問題は過去にも起きている。今年の5月には部下の指を骨折させた警視庁の機動隊員がパワハラが原因の懲戒処分を受けている。しかし、今回の事件のように上司の叱責をパラハラとして訴えるのは例がないケースである。
職種を超えて広がるパワハラ問題
パワハラはもともと民間の会社で問題となっていた。厳しいノルマの中で、上司が部下を責め立てたり、また、いわゆるブラック会社の不当解雇の手段として行われていた。だが、そういった競争社会にさらされていない、警察組織や学校組織でも現在パワハラの問題が起きている。今年の3月には、東京芸術大付属の音楽高校の男性教諭が、同僚に対する職員会議での言いがかりやミスに対する執拗な暴言がパワハラとされ、懲戒処分を受けている。
このようなパワハラ被害の拡大を食い止めるためには、新しく明確な定義を設けることや法的整備が必要である。
今後の課題
2009年には厚生労働省は精神疾患や自殺についての労災認定基準を改定し、これによりパワハラが労災に認定される可能性が広がった。また、厚生労働省指定法人である21世紀職業財団はパワハラの定義を定めている。同財団は、パワハラとは「職場において、職務上の地位や影響力に基づき、相手の人格や尊厳を侵害する言動を行うことにより、その人や周囲の人に身体的・精神的な苦痛を与え、その就業環境を悪化させること」であるとしている。 さらに、都道府県独自でパワハラの定義を定めている自治体もある。
このような取り組みは大きな前進である。だが、基準や定義にまだ曖昧な部分が多く、より明確で統一的な指針が、今後、求められるであろう。
また、パワハラはそれ自体を規制する法律が存在しない。セクハラに対しては、男女雇用機会均等法が規制や意識改善を促している。パワハラについても、これを規制する法律を整えることが急務の課題であると思われる。
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