ニデックが取締役13人中10人に増員、社外取締役とは
2026/05/14   商事法務, 総会対応, 会社法, メーカー

はじめに

不適切会計などで揺れるニデックが取締役13人中10人を独立取締役とする方針であることがわかりました。現社長ら2人は留任するとのことです。今回は社外取締役について見直していきます。

 

事案の概要

報道などによりますと、2026年初頭、ニデックグループの一部子会社で売上や費用の計上時期操作など不適切な会計処理が判明し、同年3月から第三者委員会による調査がなされていたとされます。

4月17日付の第三者委員会による調査結果の発表ではHDD用モータ事業などで損失計上を先延ばしにするなどの会計処理が指摘されており長年の「赤字禁止」的な業績プレッシャーがその背景要員の一つではないかと分析されていたとのことです。

また、さらに一部の製品で顧客の了承を得ずに部材、工程、設計の変更などの不適切行為の疑いも判明したとされています。同社は一連の不適切行為を受けて新たに取締役候補を発表し、取締役13人のうち10人を独立社外取締役とするとしました。候補者はJ・フロントリテイリング元社長や証券取引等監視委員会元委員長などとされます。

 

独立社外取締役とは

独立社外取締役とは、会社の経営陣から独立した立場で経営を監督する社外取締役を言うとされます。社内の利害関係にとらわれず中立的な立場で企業価値の向上や株主の利益保護に寄与することが期待されます。

この独立社外取締役については法令上明確な定義があるわけではなく、一般に社外取締役のうち金融商品取引所が定める独立性基準を満たす取締役を指すと言われています。

法令上社外取締役の設置が義務付けられる場合がいくつか存在します。まず特別取締役による議決の定めを置いている会社は最低でも1人の社外取締役の設置が必要です(会社法373条1項2号)。次に、監査等委員会設置会社および指名委員会等設置会社については、各委員会の構成員が3人以上でかつその過半数が社外取締役であることが求められます(331条4項、400条3項)。そして、公開大会社である上場企業で監査役会設置会社も最低1人と社外取締役が求められています(327条の2)。これは2021年施行の改正会社法から導入されたものです。

そして、コーポレートガバナンスコードでも上場する株式市場や支配株主の有無などにより独立社外取締役の設置を求めています。

 

会社法の社外取締役要件

会社法2条15号では社外取締役の要件が規定されています。まず現在および過去10年間において当該会社における業務執行取締役等でないこと、また取締役、執行役、支配人その他重要な使用人の配偶者または2親等内の親族でないことが必要です。

次に、現在および過去10年間において子会社の業務執行取締役等でないこと、そして兄弟会社の業務執行取締役等でないことも必要です。

さらに、親会社の取締役、執行役、支配人その他の使用人でないこと、そして親会社が自然人の場合はその者自身およびその配偶者と2親等内の親族でないことも求められています。

ここで業務執行取締役等とは業務執行取締役、執行役、支配人、使用人が該当するとされています。

 

社外取締役の独立性基準

上記のように独立社外取締役とは会社法の社外取締役でありかつ、証券取引所の独立性基準を満たすものを言うとされます。東京証券取引所の独立性基準では、(1)上場会社を主要な取引先とする者またはその業務執行社、(2)上場会社の主要な取引先またはその業務執行社、(3)上場会社から役員報酬以外に多額の金銭等を得ているコンサルタント等の専門家、(4)最近においてそれらに該当していた者などが挙げられています。

つまり一般株主と利益相反の関係が生じる恐れがある者を排除する趣旨と言えます。そして、コーポレートガバナンス・コード4ー9では、「独立社外取締役となる者の独立性をその実質面において担保することに主眼を置いた独立性判断基準を策定・開示すべき」ことが上場会社に求められており、実際に策定している上場会社は約6割程度とされています。

 

コメント

本件でニデックは一連の会計不正等を受けて取締役13人のうち10人を独立取締役とする方針を示しています。コーポレートガバナンスコードでプライム市場上場会社に求められている独立社外取締役が取締役の3分の1以上となっていることから見ても相当高い比率となっており、業務監督の公正性や中立性確保への強い姿勢が見られると言えます。

以上のように近年、より独立社外取締役の役割への期待が高まっていると言えます。しかし、上でも触れたように会社法や証券取引所基準など社外取締役に関する要件は非常に複雑で厳格なものとなっており社外取締役の確保も容易ではないと言えます。

自社で社外取締役の導入を検討する際にはこれらの要件や必要とされる趣旨を把握し、慎重に人選を進めていくことが重要と言えるでしょう。

 

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