外国産ロブスターを伊勢海老表記で販売したサコウ食品に措置命令 ー三重県
2026/02/18 コンプライアンス, 広告法務, 消費者取引関連法務, 景品表示法, 小売

はじめに
三重県は2月6日、景品表示法および食品表示法違反があったとして、「伊勢志摩みやげセンター王将」を運営するサコウ食品に対し措置命令を出していたことがわかりました。
外国産ロブスターを「伊勢海老」と表示していたとのことです。今回は食品の産地偽装に対する規制について見直していきます。
事案の概要
報道などによりますと、サコウ食品は伊勢市と松阪市にある2店舗にて、冷凍の外国産ロブスターを原産地を表示せずに「伊勢海老」と表記して販売していたとされます。
また、鳥羽本店を加えた県内3店舗に併設されている食堂でも外国産ロブスターを「伊勢海老」とメニューに表記し、「鳥羽の伊勢海老」などと書かれたポスターを掲示していたとのことです。
食堂での提供は遅くとも2020年4月から行われていたと見られており、合計で約3200万円を売り上げていたとされています。
これに対し三重県は、2025年10月から今年1月にかけて、サコウ食品が運営する「伊勢志摩みやげセンター王将」各店舗に立入検査を行っていましたが、立入検査の結果、景表法と食品表示法違反が認められたとして、消費者への周知徹底と再発防止を求める措置命令を出しました。
景表法による規制
食品の産地偽装については多くの法令で規制が置かれていますが、ここではまず景表法による規制を見ていきます。
優良誤認などの不当表示を規制する景表法5条3号に基づいて定められる公取委の告示「商品の原産国に関する不当な表示」によりますと、次のような表示が不当表示に該当するとされています。
まず、国内で生産された商品について、(1)外国の国名、地名、国旗、紋章その他これらに類するものの表示、(2)外国の事業者またはデザイナーの氏名、名称または商標の表示、(3)文字による表示の全部または主要部分が外国の文字で示されている表示がなされ、その商品が国内で生産されたことを一般消費者が判別することが困難であるとみとめられるものとされます。国内産を外国産であるかのような表示ということです。
次に、外国で生産された商品については、(1)その商品の原産国以外の国名、地名、国旗、紋章その他これらに類するものの表示、(2)その商品の原産国以外の国の事業者またはデザイナーの氏名、名称または商標の表示、(3)文字による表示の全部または主要な部分が和文で示されている表示がなされ、その商品がその原産国で生産されたものであることを一般消費者が判別することが困難であると認められるものとされます。こちらは「外国産をその国以外または日本で製造されたかのように見える表示」を指します。
不正競争防止法による規制
不正競争防止法2条1項20号によりますと、商品や役務、その広告や取引に用いる書類等にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途などについて誤認させるような表示をしたりその商品を譲渡、引渡、輸出入等をすることを「不正競争」行為の1つとしています。これを原産地誤認惹起行為といいます。
このような原産地誤認惹起行為によって営業上の利益を侵害され、または侵害されるおそれがある者はその侵害の停止や予防、侵害物の廃棄や除去など求める差止請求が可能とされています(3条1項)。
そして、故意・過失によって営業上の利益を侵害された場合は損害賠償請求が可能です(4条1項)。
また、不正競争防止法では罰則も設けられており、原産地誤認惹起行為に対しては5年以下の拘禁刑、500万円以下の罰金またはこれらの併科となっており、法人に対しては3億円以下の罰金が規定されています(21条2項1号、22条1項3号)。
その他の規制
上記景表法や不正競争防止法以外にも食品の産地偽装に対して規制を置く法令は存在します。
まず、食品表示法5条では、食品関連事業者等は、食品表示基準に従って表示がされていない食品を販売してはならないとしています。そして、食品表示基準では、一般用加工食品や業務用加工食品、一般用生鮮食品や業務用生鮮食品について原産地の表示方法が規定されています(3条2項、10条11号等)。
仮に食品表示法に違反した場合、内閣総理大臣や農林水産大臣による指示や命令、公表といった行政処分がなされ(6条1項、5項、7条等)、また罰則として2年以下の拘禁刑、200万円以下の罰金も定められています(19条)。
これら以外にも食品の産地偽装はJIS法や刑法に抵触する可能性があるといえます。
コメント
本件でサコウ食品は外国産のロブスターを「伊勢海老」として販売していたとされます。
同社は「外国産ロブスター=外国産の伊勢海老」という認識だったと主張しているといいますが、消費者庁のガイドラインでは外国産のロブスターを伊勢海老と表記してはならないとされており、景表法および食品表示法に違反するとして措置命令が出されました。ちなみに、サコウ食品は別途不正競争防止法違反でも刑事告発されているとのことです。
以上のように食品に関する産地偽装については様々な法令に抵触する可能性があるといえます。
また、景表法は一般消費者の被害防止に主眼を置いていますが、不正競争防止法は事業者保護に主眼を置いています。
産地偽装被害を受けた場合はどの法令に抵触しているのか、またどの法令に基づいた救済が可能なのかを慎重に検討して対応していくことが重要といえるでしょう。
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