クスリのアオキが買収防衛策を導入予定、大株主オアシスは反対
2026/02/12   商事法務, 総会対応, 戦略法務, 会社法, 医療・医薬品

はじめに


「クスリのアオキ」が臨時株主総会で買収防衛策の導入を予定していることがわかりました。これに対し投資ファンドが反対を呼びかけているとのことです。

 

事案の概要


報道などによりますと、株式会社クスリのアオキは17日開催予定の臨時株主総会で、「同社の株式20%以上となる買付に対し、所定の手続きに従わない場合は他の株主に新株予約権を無償割当する」といった買収防衛策の導入を諮る予定とされます。
具体的な手続きとしては大量株式取得を行おうとする者に意見表明書の提出や情報提供を求め、それに基づいて取締役会が検討をするとのことです。

こうした動きに対し、クスリのアオキの株式を11%超保有する投資ファンドの「オアシス・マネジメント」は同社が目指す買収防衛策の議案に反対を表明し、他の株主にも反対票を投じるよう呼びかけたとされています。

オアシスはこの買収防衛策を「事実上、取締役会の一存で希薄化するものであり、一般株主に対し極めて差別的」と主張しているといいます。

また、オアシスは、クスリのアオキ創業家を対象とした有償ストックオプションについても「企業価値を毀損する」として改めて問題視したとのことです。

 

買収防衛策とは


経産省および法務省のガイドラインによると、買収防衛策とは、

「株式会社が資金調達などの事業目的を主要な目的とせず新株または新株予約権の発行を行うこと等により自己に対する買収の実現を困難にする方策のうち、経営者にとって好ましくない者による買収が開始される前に導入されるものをいう」

とされています。
一般に買収防衛策は“敵対的買収”に対抗するために導入されます。“敵対的買収”とは対象となる株式会社の経営陣の同意を得ずに進められるM&Aと言われ、市場での買付やTOBが用いられることが多いといえます。目的は短期的な投資利益の獲得や技術・資産の吸収、競合会社の排除など様々です。

これに対して、買収対象会社の経営陣と合意をした上で行われる買収は“友好的買収”と呼ばれます。この場合は通常のM&Aであり買収防衛策の対象とはなりません。以下で具体的な買収防衛策を見ていきます。

 

買収防衛策の種類


(1)毒薬条項(ポイズンピル)
買収防衛策には様々な種類がありますが、まず、検討されるのが株主権希薄化型と呼ばれるものです。その中でも代表的なものとしてポイズンピルが挙げられます。これは買収者が一定割合以上の株式を取得した場合、その他の株主に対して無償または割安で新株予約権や新株を取得させるというものです。これにより買収者の議決権が希薄化され、経営権取得が困難になる仕組みです。

(2)黄金株
黄金株とは会社の重要な事項について否決する権利が付与された株式をいいます。拒否権付株式とも呼ばれ、自社に友好的な株主に与えておくことによって自社に敵対的な株主による株主総会決議で拒否権を発動してもらい自社を防衛するというものです。

(3)全部取得条項付株式
株主総会の特別決議によって会社が全て取得してしまうことができるのが全部取得条項付種類株式です。これを発行しておくことによって、敵対的買収者が現れた際に全て取得し、対価として普通株式を交付し株式数を増加させて買収コストを上げ、買収を困難にするといった方式です。

(4)ゴールデンパラシュート
ゴールデンパラシュートとは、あらかじめ取締役の退職金を高額に設定しておくことによって買収後の支出を大きくし、買収者の買収意欲を低下させるという手法です。この方法は株式の価値の下落を招き他の株主の利益にも影響を与えるといったリスクがあると言われています。

 

一般的な買収防衛策の流れ


上で紹介したガイドラインでは企業が買収防衛策を導入する上で遵守すべき原則が定められています。

具体的には買収防衛策の導入や発動、廃止は企業価値と株主共同の利益を確保し向上させる目的をもって行わなければならず、導入に際しては事前に目的や内容が具体的に開示され、その内容も買収を防止するために必要かつ相当なものとすべきとされています。

そして、現在の一般的な買収防衛策としては、一定の割合以上の株式取得をしようとする者に対し、その目的や買付後の方針などについて情報提供を求め、取締役会での検討、第三者委員会での諮問などを経て対抗措置を講ずるかを決定するといった流れが多いといえます。

対抗措置としては敵対的買収者以外に新株予約権を割り当て、買収者の保有株式を希薄化するといった手法が多いとされます。

 

コメント


本件でクスリのアオキは買収防衛策として20%以上の株式取得を目指す者に対し事前の情報提供を求め、独立委員会の諮問を経て取締役会が検討するといった手法の導入を予定しているとされています。

これは上述のように、昨今における一般的な買収防衛策といえます。これに対し、大株主であるオアシスは「創業家の会社支配が目的で一般投資家の利益に資するものではない」と反対を表明しています。

以上のように買収防衛策には様々な手法がありこれまでも多くの企業が導入してきました。しかし、一方で近年海外の投資家などによる反発などから買収防衛策を導入する企業は減少傾向にあるとされています。

買収防衛策の導入を検討している場合は、ガイドラインが求める原則と一般株主の利益も十分に配慮して慎重に選択していくことが重要といえるでしょう。

 

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