九電のやらせメールについて思う
2011/07/08 コンプライアンス, 民法・商法, その他

事案の概要
運転停止中の九州電力の玄海原子力発電所(玄海町)の再稼働について、経済産業省が6月に佐賀県で県民向けの説明会を開いた。その際に、九州電力の社員が本社や子会社の社員に一般市民を装って再稼働を支持する意見メールを送るよう依頼していたことが7月6日、明らかになった。依頼に基づき、説明会開始後に複数のメールが寄せられたという。
翌日の7日、玄海町の岸本英雄町長は九電側にいったん伝えた再稼働への同意を撤回することを決めた。岸本町長は撤回の理由として,政府が原発の『安全宣言』をしてから原発の事故・災害への耐久性を調べるストレステスト(耐性調査)の実施を表明し、再度安全確認をすることに強く反発した。また、九電社員がメールを依頼していた問題にも触れ、「まさにヒューマンエラーそのもの。(九電との)信頼関係に亀裂が入った」と発言し、撤回の判断に影響したことを認めた。
雑感
玄海原発の再稼働問題の当事者に当たる九電側が身分を隠し、一方的な意見を送ったのは、説明会の公平性に反するとしてニュースで批判されている。また、九電の真部利応社長は7月6日の記者会見で、自身の関与について「知っていったかどうかも含めてノーコメント」、「そんなに大きな問題ですか」と述べた。この社長の発言もはぐらかしていると批判を強めた。当初は真部社長は自身の責任について「どのような責任の取り方があるかわからない。もう少し考えさせてほしい」と明言を避けていた。しかし、翌日の7日「(社長)を続けるにしても長くはない」と述べ、辞任を示唆した。
福岡原発の事故の影響により、原子力発電所の再稼働に反対する県民が多いであろうことを踏まえて、再稼働を行うために九電社員はメールの依頼をした。そうであるにもかかわらず、メール依頼が明らかになったことで九電への反発が強まり、いったんは再稼働に同意した原発所在地の町長からも同意が撤回されている。九電としては原発に対する批判が強まっていっるからこそやらせメールを行ったのだろうが、批判されている時こそ、普段よりも大きく問題となる。結果として社長の引責辞任がなされることになりそうである。
不正な手段を用いたことで、かえって自らが求めた結果と正反対のことが生じることがあることに注意したい。
関連コンテンツ
新着情報
- 弁護士
- 髙瀬 政徳弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階

- 業務効率化
- 法務の業務効率化

- 解説動画
大東 泰雄弁護士
- 【無料】優越的地位の濫用・下請法の最新トピック一挙解説 ~コスト上昇下での価格交渉・インボイス制度対応の留意点~
- 終了
- 視聴時間1時間

- 解説動画
浅田 一樹弁護士
- 【無料】国際契約における準拠法と紛争解決条項
- 終了
- 視聴時間1時間

- まとめ
- 今年秋施行予定、改正景品表示法の概要2024.4.25
- 昨年5月に成立した改正景表法が今年秋に施行される見通しです。確約手続きの導入や罰則規定の拡大...

- セミナー
内田 博基 氏(三菱UFJ信託銀行株式会社 執行役員 法務部長 ニューヨーク州弁護士)
藤原 総一郎 氏(長島・大野・常松法律事務所 マネージング・パートナー)
板谷 隆平(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
- 【3/19まで配信中】CORE 8 による法務部門の革新:三菱UFJ信託銀行に学ぶ 企業内弁護士の力を最大限に活かす組織作りの秘訣
- 終了
- 2025/03/19
- 23:59~23:59
- 弁護士
- 横田 真穂弁護士
- 弁護士法人 咲くやこの花法律事務所
- 〒550-0011
大阪府大阪市西区阿波座1丁目6−1 JMFビル西本町01 9階

- ニュース
- パナソニックが定款変更で人数制限、会社法の取締役数規制について2025.6.4
- パナソニックホールディングスは先月29日、定款を変更して取締役の上限を15人に制限すると発表...

- 業務効率化
- クラウドリーガル公式資料ダウンロード