脱毛サロン「ミュゼプラチナム」が一時休業、給与未払い・離職票不達のトラブルも
2025/04/16 商事法務, 総会対応, 労務法務, 訴訟対応, 労働法全般, 会社法, サービス

はじめに
3月21日に、「全店舗を3月22日から1ヶ月間休業する」と発表した、大手脱毛サロンの『ミュゼプラチナム』。
そのミュゼプラチナムで、従業員への給料未払いなどの問題が生じていると報じられています。
買収、内紛がトラブルの源か
MPH株式会社が現在運営する「ミュゼプラチナム」は2003年にスタートした全身脱毛サロンです。
高額だった脱毛を、手頃な価格で受けられるサロンとして人気を博しました。2018年には全国47都道府県に出店し、400万人以上の会員数を誇っています。そのミュゼプラチナムで現在、従業員への給料未払いや離職票が届かないなどのトラブルが起きているといいます。
大きな潮目となったのが、AV機器などの製造・販売を行っていた船井電機の親会社、船井電機・ホールディングス株式会社がミュゼプラチナムに対して行った、2023年4月の買収と言われています。
船井電機側は、ミュゼプラチナム合同会社を設立し、同社を通じて株式会社ミュゼプラチナムの全株式を取得することで、ミュゼプラチナムを完全子会社化しました。
しかし、事前に考えていたミュゼプラチナム買収後の収益見通しが甘かったこともあり、経営支援などを名目とした貸付金など約300億円が船井電機側から流出したと言われています。
その影響からか、船井電機の資金繰りが悪化。2024年3月にミュゼプラチナム合同会社を売却した後、船井電機は2024年10月に東京地方裁判所に準自己破産を申し立てています。
船井電機が経営権を手放した後、MPH社がミュゼプラチナムの運営会社となりましたが、今年2月にMPH社と合同会社トラストとの間で経営権の所在をめぐる内紛が発生。
トラスト側は、「MPHの全株式を取得し全経営陣を交代した」と主張するなど、争いは訴訟(元の経営陣の地位を確認する仮処分申し立て)にまでもつれ込みました。
結局、3月26日に下された判決では、MPH側に経営権があることが認められましたが、その間に、従業員給与や店舗家賃、関連会社への支払いなどが滞り、運営する全店舗を3月22日から4月20日までの期間、臨時休業せざるを得ない状況に追い込まれています。
ちなみに、給料未払いについてMPH側は、「合同会社トラストがもたらした混乱」を理由に挙げていますが、2024年の年末時点で給与が半額しか振り込まれなかった従業員や、無給状態の従業員もいたとされており、今回の臨時休業の約3〜4ヶ月前から給料の遅延や未払いが続いていたと報じられています。
給料が支払われていない従業員は約2500人に及ぶと言われています。
経営状態の悪化が危ぶまれるミュゼプラチナム。3月31日に行われた従業員向けの説明会では、社長から会社都合による退職勧告が行われたほか、4月3日には店舗運営権の譲渡および従業員の再就職支援を実施することが発表されています。
なお、今回の休業に伴い、4月から入社予定だった新入社員には自宅待機が命じられているということです。
離職票が届かない…、違反の可能性も
給与未払いが取り沙汰されるミュゼプラチナムですが、一部報道では、退職届を提出した従業員が、「受理されているかわからず、失業手当の申請に必要な離職票も届いていない」と悲痛な胸の内を明かしています。
「離職票」とは退職後に会社が交付する書類で、退職理由や過去半年間の給料、出社日などが記載されています。雇用保険の失業給付を受給するにあたり必要となる書類です。
離職票は希望者のみに発行するケースがあり、会社ごとに対応が異なります。ただし、退職者が会社に対して離職票を請求した場合、会社は交付する義務があります(雇用保険法 第76条3項)。
交付を拒んだ場合は、雇用保険法に違反し、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が課せられます。
コメント
今回の休業では、ミュゼプラチナムと契約している利用者の間でも不安が広がっています。MPH側は、今後、新たな経営体制で再出発するとしていますが、利用者や従業員からは懸念の声が上がっています。企業には、信頼の回復に向けた丁寧な説明と、誠実な対応が強く求められます。
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