ホンダ副社長が辞任、業務時間外の懇親の場で不適切な行為
2025/04/09 労務法務, コンプライアンス, 危機管理, ハラスメント対応法務, 労働法全般, 会社法, 刑事法, 自動車

はじめに
自動車メーカーの本田技研工業株式会社(以下、ホンダ)は、副社長が4月7日付けで辞任したことを発表しました。業務時間外に行われた懇親の場で不適切な行為を行ったということです。
警察からの告発状受理の連絡で発覚
今回、取締役代表執行役副社長(以下、「元副社長」)の辞任を発表したホンダ。
元副社長は1986年にホンダに入社後、二輪事業本部長などを経て、2023年4月に副社長に就任していました。EV(電気自動車)事業における戦略立案や推進に大きく関与するなど、社内でも重要な役割を担っていたといわれています。
しかし、この元副社長に対し、「懇親の場で不適切な行為があった」として、被害者から告訴状が提出されたといいます。
ホンダは、警察からの告訴状受理の連絡を受け、速やかに監査委員会主導による調査および処分案の取りまとめを実施。その後、取締役会へ報告するなどの対応を行い、近日中に取締役会で処分を下す予定でしたが、4月7日に副社長自ら辞任届を提出したということです。
ホンダ側は、同社の監査委員会の調査の結果、不適切な行為があったと認定しており、「辞職は妥当である」と判断しているといいます。
ホンダは今回の事案を重く受けとめ、社長は月額報酬20%を2か月間、自主返上するとしています。
また、謝罪のコメントを発表すると共に、「信頼の回復を最優先の課題とし、今後再発防止策の検討やコンプライアンス順守体制を一層充実させる」としています。
ホンダの今後の新たな経営体制については、現在検討中で、近日中に発表されるといいます。
なお、懇親会時に行われた不適切行為の詳細な内容などについては、被害者のプライバシーを守るため、内容の公表を行わないということです。
エネオスも過去に懇親の場での不適切行為で社長解任
今回、懇親会で何が行われたかは明らかになっていませんが、一般的に、飲酒提供のある懇親会は、立場を超えて、普段できないような興味深い話を聞くことができる場として活用されています。
役員・社員間でも、いつもよりカジュアルに話ができる一方で、羽目を外す人も現れ、大きな問題を招く事例も散見されます。
2023年12月には石油元売り最大手ENEOSホールディングス株式会社(以下、エネオス)の当時の社長が懇親会で酒に酔い、女性に対して不適切な行為をしたとして解任されました。
当時、深酔いしていた元社長は懇親会に同席していた女性に抱きついたということです。同年11月末に内部通報があり、発覚しました。
この通報を受けて外部の弁護士らが調査を開始。元社長は調査に対し、自身が行った行為について覚えていないと答えたそうですが、その上で、「度を越して飲酒したこと自体が問題であり、自制ができておらず大変恥ずかしくて申し訳ない」などと話したと報じられています。
最終的に目撃証言はなかったものの、会社は元社長の不適切行為を認定しました。なお、懇親会の時期や場所などについては被害者のプライバシーを理由に明らかにされていません。
エネオスでは2022年8月にも当時の会長が女性へわいせつ行為をしたとして辞任。同社は再発防止に取り組んでいる最中でした。
コメント
新入社員が入社する4月は新年会を開催する企業も多いのではないでしょうか。会社が開催した飲み会でハラスメントや暴力を伴うトラブルなどがあった場合、会社も使用者責任を問われる場合があります。
法務の立場からは、飲酒を伴う懇親の場に関するガイドラインの策定や、役職者向けの定期的な研修・リマインド施策の強化が求められます。その上で企業全体のリスクマネジメント体制を再点検することが重要です。
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