ビックカメラの下請法違反に公取委が勧告へ、不当に約5億円減額か
2025/02/28   契約法務, コンプライアンス, 行政対応, 下請法, メーカー, 小売

はじめに


家電量販店大手の株式会社ビックカメラに対して、公正取引委員会が近く下請法違反で勧告を出す方針とのことです。
自社のプライベートブランド製品の製造で、下請事業者への発注金額から不当に約5億円を差し引いていたと報じられています。

ビックカメラは2月25日に自社ホームページで「下請法の調査を受けているのは事実」とコメント。今後開示すべき事項があれば速やかに公表するとしています。

 

約5億円不当に減額か


家電メーカー各社からの仕入れ販売で知られるビックカメラ。その一方で、自社グループが展開するプライベートブランド製品を企画・開発しています。ビックカメラのプライベートブランド製品の数は現在700〜800にのぼるといわれています。

報道などによりますと、ビックカメラは、プライベートブランドの洗濯機・冷蔵庫・電子レンジなどの製造を委託していた下請事業者約50社に対して、不当に代金を差し引いて支払っていたということです。
不当な減額は、遅くとも2023年夏ごろから1年間にわたり行われ、不当と認定された額は約5億円とみられています。
減額は「販売奨励金」、「拡大販売」といったリベートの名目で行われていたといいます。

公正取引委員会は、こうした減額が習慣化していたとみており、今後、下請法違反(減額の禁止)として再発防止を勧告する方針です。

ビックカメラは公正取引委員会からの調査を受け、減額した金額分を下請け業者に全て返金したということです。

 

過去には「月次リベート」などで減額の事例も


今回のビックカメラのように、下請事業者に対して代金を不当に減額するケースは他の企業などでも見られ、公正取引委員会から勧告などを受けている事例も少なくありません。

2024年5月には、生活協同組合「コープさっぽろ」が不当に減額を行ったとして、公正取引委員会が再発防止の勧告を行いました。

コープさっぽろは2021年8月から2024年4月にかけて、食料品の製造や商品配送を行う下請事業者へ支払う下請代金を、下請事業者に責任がないにもかかわらず不当に総額2537万4079円減額していたとされています。
減額の名目は「月次リベート」「システム利用料」「協賛金年契リベート」「達成割戻金」「支払通知作成料」だったということです。

公正取引委員会は、これらの行為は下請法が禁止する“下請代金の減額”に当たるとして、管理体制整備と周知徹底などを命じる勧告を出しました。なお、コープさっぽろは減額分の下請代金については、すでに支払済としています。

公取委が「コープさっぽろ」に勧告、不当減額とは(企業法務ナビ)

 

下請法上の「下請代金の減額」について


下請法は、下請事業者に責任がないにも関わらず、発注時に書面などで定められた金額から一定額を減じて支払うことを全面的に禁止しています。
よく用いられる減額の名目としては、「販売奨励金」、「値引き」、「協賛金」、「歩引き」などがありますが、名目や金額の多寡、下請事業者との合意の有無に関わらず、代金の減額は下請法違反となります。

そのほか、「下請代金の不当な減額」となる事例として以下のようなケースも挙げられます。

・販売拡大と新規販売ルートの獲得を目的としたキャンペーンの実施に際し、下請事業者に対して、下請代金の総額はそのままに、現品を添付させ納入数量を増加させることにより、下請代金を事実上減額したケース。

・下請事業者との間で単価の引下げについて合意が成立したが、合意前の発注に対しても、新単価を遡及して適用させたケース。

・下請代金を銀行口座へ振り込む際の手数料を、下請事業者との合意なく下請事業者に負担させ、下請代金の額から差し引いたケース。

ポイント解説 下請法(公正取引委員会・中小企業庁)

 

コメント


経済的な優位性を持つ企業が、不当に下請け企業に負担を強いることは、下請法上厳しく禁じられています。
さらに近年、公正取引委員会は監視の目を強化しており、大手企業を中心に、勧告を出される事例が目立って来ています。

社内でのコンプライアンス教育時は、具体的な勧告事例などを示しながら、下請法違反への意識を高めることが重要です。

 

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