就活生に性的暴行疑いでNEC社員を逮捕、NECは採用活動指針を厳格化へ
2025/01/21 労務法務, コンプライアンス, 労働法全般, 刑事法, メーカー

はじめに
日本電気株式会社(以下、NEC)は1月14日、就職活動中の女子大学生に性的暴行を加えた疑いで1月8日に社員が逮捕されたと発表しました。NECは今回の事件を受けて、採用活動指針を見直し、厳格化しました。
昨今では就職活動やインターンシップに参加した学生などが性的被害、セクハラ被害を受けるケースが増えているといいます。
就活生に性的暴行で社員逮捕
今回逮捕されたのは、NECの社員の男(29)です。報道などによりますと、男は、2024年11月30日未明、20代の女子大学生の自宅で性的暴行を加えた不同意性交の疑いが持たれています。
大学生は2024年に開催されたNECのインターンシップに参加していた就活生で、容疑者の男も同インターンシップに社員として参加していました。
後日、男は大学生に「就活の相談に乗る」などと誘い出し、2人きりで喫茶店で面会したほか、居酒屋で深夜まで飲酒したといいます。その後、大学生の自宅に上がり込み、性的暴行を加えたということです。
警察の調べに対し、男は自宅に行ったことは認めていますが、「大学生には一切触れていない」と容疑を否認しているということです。一方、大学生は「帰って欲しかったが、志望する会社に勤務していて就職活動の相談もしていたので、断りにくかった」などと話していると報じられています。
NECは逮捕を受けて「被害に遭われた方や関係者の皆様にお詫び申し上げます」とコメントを発表。また、会社として警察の捜査に全面的に協力すると共に、逮捕された社員に対して事実確認を行ったうえで厳正な処分を行うとしています。
採用活動指針を見直し
NECは今回の事件を受けて、学生が安心して就職活動を行えるよう採用活動指針を見直しました。従来から「学生との連絡時に、個人のメールや携帯電話、SNSの利用を一切禁止する」などの指針はありました。しかし、今後は面会時間が午後6時までになるほか、一部認められていた飲酒は一切禁止となります。
今後のNECの採用活動指針の概要は以下のとおりです。
・1対1での面会は会社施設、大学構内のオープンスペース、オンラインに限定し、1時間以内とする (従来:個室での面会禁止)
・対面での面会時間は平日9時から18時まで (従来:平日21時まで)
・飲酒はいかなる場面でも一切禁止
(従来:インターンシップ時は18時30分まで飲酒をともなう懇親会の実施可)
・面会時は面会方法、場所、時間、学生の氏名などを事前に上司および採用担当者に届け出る(新規追加)
・採用に関わる社員は採用活動指針に則った行動をする旨の誓約書を会社に提出(新規追加)
厚労省調査“就活中にセクハラ被害あった”3割超える
インターンシップや就職活動をめぐっては、社員などが学生に対してセクハラを行う被害が問題となっています。
2019年3月には住友商事の社員だった男が就職活動中の女子大学生に対してわいせつな行為をしたとして、準強制性交容疑で逮捕されました。2人は、就活生がOB訪問先の企業を探せるマッチングアプリを通じて知り合ったということです。
厚生労働省が2024年3月に公表した、就活・インターンシップ中のセクハラに関する調査結果によると、インターンシップ中にセクハラを一度以上受けたと回答した人の割合は30.1%。男女別でみるとセクハラを経験したと回答した割合は男性が32.4%、女性27.5%と男性の割合が高いことがわかりました。
また、インターンシップ以外の就職活動中に「性的な内容の情報の流布」や「性的な関係の強要」などの被害にあった就活生もおり、こちらも男性が34.3%、女性が28.8%と男性の割合が女性よりも高い結果となりました。
コメント
各社が新卒採用に苦戦する中、社員と就活生の接点を増やし、採用増を狙う企業も少なくありません。就活生との関係性構築のため、親身・フレンドリーな対応を心掛ける社員も多いと思います。
その一方で、社員が企業人としてのスタンスを踏み越え、過度にフランクな関係性を築いた場合、会社や大学などの目の届きにくい場所でセクハラや性的な犯罪が起こるリスクが高まります。
今一度、就活生と、いつ・どこで・どのようなコミュニケーションをとるべきか、会社としての指針を明確にしたうえで、社内規定の見直しや、採用に関わる社員への周知徹底を行うことが重要となります。
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