旧ジャニーズのタレント所属「STARTO社」、チケット売買サイトに発信者情報開示請求
2024/09/19 消費者取引関連法務, プロバイダ責任制限法, エンターテイメント

はじめに
旧ジャニーズ事務所のタレントが所属する株式会社STARTO ENTERTAINMENTは2024年9月5日、大手転売サイトに対し、悪質な出品者の特定を行うため、発信者情報開示請求を行ったと発表しました。
2019年にはチケット不正転売禁止法が施行され、同年に人気アイドルグループのチケットを高額転売するなどした女が書類送検され、その後、有罪判決を受けています。
長年に渡り問題となっているチケットの高額転売の解決に向け、企業が具体的に動き出しました。
民間企業が高額転売者特定に乗り出す異例措置
STARTO ENTERTAINMENT(STARTO社)および、同社の契約タレントが出演するコンサートや舞台の多くを主催する株式会社ヤング・コミュニケーションは、チケット売買サービス「チケット流通センター」の運営会社である株式会社ウェイブダッシュに対し、発信者情報開示請求を行ったことを明かしました。
STARTO社らは人気コンサートなどのチケットを高額転売目的で出品を繰り返す、いわゆる悪質な「転売ヤー」を特定したい考えです。
STARTO社の発表によりますと、2019年に「チケット不正転売禁止法」が施行され取り締まりが強化されて以降も、チケット転売サイトでは多数のチケット高額転売が行われているといいます。
STARTO社が調査したところ、サイトでは約1万件のチケットが転売目的で出品されていたということです。人気男性アイドルグループ「なにわ男子」のイベントだけで3,000件以上の転売が確認され、うち100件以上が10万円を超える価格で出品されていたと発表しています。
今回、会社はサイト上の取引のうち、売買金額などから“明らかに不正転売である”と判断した出品299件に関し、プロバイダ責任制限法に基づく開示請求を行ったということです。
開示請求を行う前の8月下旬、STARTO社はウェイブダッシュ側に対し出品者がサイト上で登録していた氏名や住所などの情報開示を書面で求めていました。しかし期限までに回答がなかったため、今回の対応に踏み切ったとしています。
STARTO社のイベントでは、転売されたチケットを購入しても規約上無効となり、入場拒否される運用となっています。そのため、コンサートや舞台を主催するヤング・コミュニケーションなどに不要な業務が発生し営業権が侵害されているとしています。
何よりも正規購入の希望者がチケットを買う機会を奪われることになるため、不正転売行為の撲滅のため必要な措置を講じたということです。
民間企業が転売サイトに対して高額転売者の情報開示を求めるのは異例のことだと報じられています。
チケット不正転売禁止法で摘発、有罪判決も
2019年には、人気アイドルグループ「嵐」のコンサートの電子チケットを最大15倍の値段で転売したとして、保育士の女(当時24歳)がチケット不正転売禁止法違反などの疑いで書類送検されています。チケット不正転売禁止法施行後、初めての立件となりました。
女は2019年6月から9月にかけて転売禁止の「嵐」のコンサートなどの電子チケットを、3人に対し、4万円から13万3千円の価格で不正転売していたということです。
2020年8月に大阪地方裁判所は懲役1年6カ月、執行猶予3年、罰金30万円を言い渡しました。判決では、女が出来るだけ良い席でコンサートなどを観覧するため転売チケットを複数入手。余った分を転売し、次回のチケット購入費に当てようとし、チケットの適正な流通を阻害したと非難しました。
女は事実関係を認めていることなどから、執行猶予つきの判決となりました。
コメント
アイドルのコンサートなどに限らず、お笑いライブやその他のイベントでもチケットが高額転売されている実態があります。
今回の発信者情報開示請求は、長年にわたり問題視されてきたチケットの不正転売に対する新たな一歩です。特に、民間企業が具体的な行動を起こし、高額転売の根絶を目指す取り組みは、正規購入を望むファンにとっても大きな希望と言えるでしょう。
この動きが今後どのように展開され、業界に影響していくのか、動向が注目されます。
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