高倉町珈琲、アレルギー表示の欠落(食品表示法違反)で商品回収
2024/05/13 コンプライアンス, 食品衛生法, 食料品メーカー

はじめに
首都圏などに店舗を構えるカフェチェーン「高倉町珈琲」は、5月2日、店舗等で販売していたクッキーのパッケージ表示において、アレルギー物質の「卵」の記載が欠落していることが判明したとして、お詫びと商品回収を発表しました。
クッキ−5000個回収
高倉町珈琲は、首都圏を中心に全国39店舗を展開中の人気カフェチェーンで、こだわりのコーヒーやパンケーキなどを売りとしています。
その高倉町珈琲が店舗およびオンラインショップで販売した「ココナッツとホワイトチョコのクッキー」のパッケージに、アレルギー物質の「卵」の記載が欠落していることがわかったと運営会社が発表しました。
運営会社は、「卵アレルギーがある方はクッキーを食べないよう」呼びかけており、同時に、対象商品が手元にある場合には、返品(希望者は他のクッキーとの交換)して欲しいと呼びかけています。
消費者庁によりますと、回収対象のクッキーは、4月10日から5月1日までの期間、39の店舗とオンラインショップで販売された6960個で、卵アレルギーのある購入者が食べた後に、腹痛・嘔吐などを発症した例があるとのことです。
高倉町珈琲「ココナッツとホワイトチョコのクッキー」 - 交換/回収(消費者庁)
食品表示法違反で罰則も
食物アレルギーの表示については、かつては食品衛生法で規定されていましたが、現在は、食品表示法の規定に基づく食品表示基準及び関連通知等に従って表示することとなっています。
その中で、接種後にアナフィラキシーショックなどの重篤な症状を引き起こす危険性のある8品目(えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生)については、「特定原材料」として、これらを原材料として容器包装された加工食品等に使用した場合に、製造者に対し表示を義務づけています。
ちなみに、容器包装に入れずに販売したり、レストランなどで提供したりする際には、表示義務はないとされていますが、消費者が知らずに口にしてしまったときのリスクを考え、一部のレストラン等では自主的に特定原材料の表示を行っています。
命に関わる特定原材料の摂取。保健所などは、食物アレルギーの表示が正しくされているか、以下の方法により確認しています。
・原材料や製品の仕入時に、販売元の事業者から特定原材料等の有無についての情報提供を受けているかなど、製造・販売に係る関係書類からの確認
・加工食品に特定原材料が含まれているかどうかの試験検査
・食品を生産するに当たり、意図しない特定原材料等の混入が発生しないよう、製造ラインの洗浄方法など、混入防止策についての確認
そのうえで、表示違反の食品を発見した際には、事業者側に、必要事項を表示させ、訂正されるまで販売を行わないよう指導しています。また、緊急性がある場合には、事業者に対し、食品の回収や業務停止命令などの措置を講じる場合があります。(食品表示法第6条8項)
この命令に従わない場合、3年以下の懲役又は 300 万円以下の罰金(法人では前述の行為者を罰するほか、3億円以下の罰金)が科される可能性があります。
また、食品表示基準に従った表示がされていない食品を販売したことに対して、2年以下の懲役又は 200 万円以下の罰金(法人では前述の行為者を罰するほか、1億円以下の罰金)が科される可能性もあります。
コメント
印字がうまくできていなかった、勘違いで表示ラベルを貼り間違えたといったミスであっても、表示の欠落として事業者の過失を問われるおそれがあります。
食物アレルギー患者の正確な人数は把握されていないものの、乳幼児の5~ 10%、小学生の1~3%が食物アレルギー患者であると考えられています。
消費者が美味しいものを安心安全に食べられるよう、事業者として細心の注意のもと、食品を販売・提供する必要があります。
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