新しい外国人在留管理制度をご存じですか?
2011/05/29   外国人雇用, 民法・商法, その他

1.従前の在留管理制度の問題点

新たな在留管理制度は、法務大臣が在留管理に必要な情報を継続的かつ一元的に把握する目的で設けられたものである。

これまでは、法務省による「入管法上の情報管理」と、市町村による「外国人登録制度」の二本立てで在留管理が行われていたが、これでは法務大臣は、入国時や在留期間の更新時といった節目節目で在留外国人に関する情報を把握するにとどまり、転職・退職・転校・退学等の在留中の事情変更を把握することが出来ないでいた。
では、市町村は、これらの情報を把握しているのかというと、外国人登録法上、虚偽申請や申請義務違反に対しては、罰則が定められてはいるものの、在留資格の取消しや退去強制等の入管法上の処分と直接リンクしていないこと、市区町村の長による調査の権限がかなり制限されていること等の理由により、結局は、在留中の事情の変更についての正確な登録が行われるためには、在留外国人自身による適切な申請を待つほかないのが実情だった。

在留中の上記したような事情変更は、場合によっては在留資格の取消に繋がる可能性があるにも関わらず、これに関する情報を正確に把握できない制度は、それ自体、欠陥のあるものと言わざるをえない。

2.新制度の概要

新制度の導入に伴い、従前、市町村が行ってきた外国人登録制度は廃止されることになり、以後は、外国人登録証明書に代わりICチップが埋め込まれた「在留カード」が交付される。

在留外国人は、これを常時携帯し、入国審査官・入国警備官,警察官等から提示を求められた場合には提示する義務が生じ、これらを破った場合には、罰則が科せられることがあるようだ。また、氏名・生年月日・性別・国籍・居住地・就労先や通学先等について在留期間の途中で変更が生じた場合,変更の事由が生じた日から一定期間内に、当該変更のあった旨を法務大臣に届け出なければならない。

なお、この新制度の対象は、我が国に中長期滞在する外国人であり、短期滞在者や特別永住者は除外される。

※在留カード※
在留カードは、我が国に中長期間在留する外国人に対し、上陸許可や在留資格の変更許可在留期間の更新許可等在留に係る許可に伴って交付される。顔写真のほか氏名・国籍等・生年月日・性別・在留資格・在留期限・就労の可否などの情報が記載される。

3.新しい在留管理制度が在留外国人にもたらすメリット

新制度により、適法に在留する外国人の方々は、以下の2つのメリットが享受できる予定だ。

(1)在留期間の上限の伸長
現在の上限は3年だが、法務大臣が「適法に在留している外国人」いわゆる優良外国人についての情報も正確に把握できるようになった結果、5年の在留期間を法務省令で定める予定である。

(2)再入国許可制度の見直し
有効なパスポート及び在留カードを所持する外国人で帰国後1年以内に再び日本に入国したいという場合には、原則として、再入国許可を受ける必要がなくなる。また、再入国許可を受けた場合、当該許可により我が国に滞在できる期間の上限も、これまでの3年から5年に伸長される予定である。

新たな在留管理制度は、改正法が交付された平成21年7月15日から3年以内の政令で定める日から施行される。

上間法務行政書士事務所 行政書士 齊藤 源久(さいとう もとひさ)

シェアする

  • はてなブックマークに追加
  • LINEで送る
  • 資質タイプ×業務フィールドチェック
  • TKC
  • 法務人材の紹介 経験者・法科大学院修了生
  • 法務人材の派遣 登録者多数/高い法的素養

新着情報

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビの課題別ソリューション

企業法務人手不足を解消したい!

2007年創業以来、法務経験者・法科大学院修了生など
企業法務に特化した人材紹介・派遣を行っております。

業務を効率化したい!

企業法務業務を効率化したい!

契約法務、翻訳等、法務部門に関連する業務を
効率化するリーガルテック商材や、
アウトソーシングサービス等をご紹介しています。

企業法務の業務を効率化

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビに興味を持たれた法人様へ

企業法務ナビを活用して顧客開拓をされたい企業、弁護士の方はこちらからお問い合わせください。