職権濫用か世紀の英断か・・・橋下知事の「君が代起立」条例案
2011/05/19   法改正対応, 法改正, その他

概要

橋下知事が率いる「大阪維新の会」の大阪府議団は、5月府議会で君が代斉唱時の教員の起立義務化条例の成立を目指して動き始めた。
違反者には懲戒免職も含めた処分を予定している。
19日午前3時すぎ、橋下知事は自身のtwitterで、「これは君が代問題ではない。教員は職務命令を無視できるのか?の問題」とコメント。
これまで府は、府教委は14年に府立学校の教員に国歌斉唱時に起立するよう文書で指示。これを根拠に不起立教員について懲戒処分を行ってきたが最も軽い戒告に止めてきた。

法的根拠

日の丸・君が代に関する具体的な法的根拠は「学習指導要領」にある。
(学習指導要領第6章 第3の3)

入学式や卒業式などにおいては,その意義を踏まえ,国旗を掲揚するとともに,国歌を斉唱するよう指導するものとする。

学習指導要領は、法律ではなく、「告示」という形式である。過去の判例では、学習指導要領に法規としての性質を認めてはいるが、具体的にどの部分にどの程度の法的拘束力があるのかまでは判断されていない。
実際には、校長が指導要領に基づき、職務命令を発することになる。

過去の判例

2007年2月27日、最高裁第三小法廷では、君が代ピアノ伴奏を行うことを内容とする職務命令を発令したが、上告人がこれを拒否したため、東京都教育委員会が職務命令違反を理由とする「戒告処分」を下した事件で、君が代ピアノ伴奏を拒否した東京都の小学校教員に対する戒告処分について、思想・良心の自由を保障する憲法19条に反しないと判断し、「戒告処分」を適法とした。
2011年3月10日、東京高裁では、東京都教育委員会による日の丸・君が代への起立・斉唱の強制に従わなかったことを理由に処分された都立学校教職員168人が、「懲戒処分」は思想・良心の自由の侵害だとして、都を相手にその取り消しと損害賠償を求めた裁判で、「懲戒処分」は社会観念上著しく妥当を欠き、重きに失するとして、懲戒権を逸脱した違法行為だとした。
(一方で、「日の丸・君が代」を強制する都教委の通達や校長の職務命令自体については、憲法に違反しないとの従来の判例を踏襲、損害賠償は認めず。)

総評

昔から根深い対立が存在する「君が代・日の丸」問題。憲法が絶対不可侵として保障する思想・良心の問題なのか、はたまた単に上司の命令に従わない部下に対する処分の問題なのか。
裁判所ですら判断にゆれるデリケートな問題だけに、今回の強制条例のインパクトは大きい。
相変わらず思うのは、地震によって西日本が果たさなければならない仕事が増加するこのタイミングで議論他を差し置いて議論すべき議題なのだろうか?と言うことだが。

【関連リンク】
文部科学省:学習指導要領

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