ダンプカーの運転手に応募したら、いつの間にか原発作業員に!?
2011/05/15 労務法務, 労働法全般, その他

ダンプカーの運転手に応募したら、いつの間にか原発作業員に!?
大阪市西成区・あいりん地区の労働者2人が「宮城県女川町でのダンプカーの運転手」の求人に応募したところ、実際には「福島第一原発周辺での作業」に従事させられていたことがわかった。ダンプカーのハンドルを握るつもりが、防護服を着てガレキを撤去したりタンクから水を運び出したりする作業をする羽目に。このような騙し討ちが許されるはずはない。
厚生労働省は今月13日、求人を行う場合や雇用契約を結ぶ際には、就労場所や業務内容等を労働者に正確に伝えるよう要請した。
関係法令
※労働基準法15条※
使用者は、労働契約の締結の際には、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。これに違反した場合には、使用者には、30万円以下の罰金が待っている。また、この場合、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
※職業安定法65条8号※
職業紹介又は労働者の募集の際に、虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を呈示してこれを行った者は、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処される。
雑感
労働基準法や職業安定法で、明確に禁じられ、罰則規定まであるにも関わらず、このような騙し討ちでの求人募集や労働契約の締結が行われたのはなぜだろうか。今回の件で、東電が直接、法を犯したわけではないのだが、やはりどこかで、下請けや協力企業を大切にしない東電の体質が関わっている気がする。
聞けば、現在、福島第一原発内では、作業員らの安全確保のルールや手順がなし崩し的に緩和されているそうだ。耐水性のない防護服を着て汚染水で濡れたホースを肩にかついで運ぶ作業中に、放射性物質が体に染み込み、その洗い流しが完全にできなかったにも関わらず、そのまま、再び放射性物質の付着のおそれのある作業に復帰させられた作業員もいる。
原発事故に対する国民の関心が高く、監視の目が厳しい現状でも、平気で作業員保護のためのルールのねじ曲げが行われる。「東電の利益のためには、なりふり構わず、末端の作業員を犠牲にする」という価値観がやはり根深く根付いているのではないだろうか。
この東電の体質にメスが入らない限り、今後も、末端の作業員をめぐる違法行為・安全ルール違反行為は続きそうだ。
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