地震のドサクサ?民主党、人権侵害救済法案を国会提出の意向
2011/05/12   法改正対応, 法改正, その他

概要

政府・民主党は、不当な差別や虐待で人権侵害を受けた被害者の救済を目的とする「人権侵害救済法案」を次期臨時国会に提出する方針を固めた。
2002年に小泉内閣が提出(翌年に廃案)した人権擁護法案の対案として民主党が05年に作成した法案をベースに修正を加える方針。

自民党の人権擁護法案について

最初に、自民党が提出した「人権擁護法案」は、どのような物だったのか簡単に説明したい。
まず、法務省の外局として、内閣総理大臣が任命する人権委員会が設置され、その人権委員会が、市町村長が推薦した者のうちから、人権擁護委員を指名する(準公務員として国家公務員法に従う)。
人権擁護委員には、一定の場合に①事件の関係者に対する出頭要求・質問、②当該人権侵害等に関係のある文書その他の物件の提出要求、③当該人権侵害等が現に行われ、又は行われた疑いがあると認める場所の立入検査などの権限が与えられる予定だった。
この法案は、①人権委員会を法務省の外局としたことに対する救済機関の独立性の問題や、②報道機関による人権侵害についても対象としていたことから反対が強く、廃案となった。

民主党の人権侵害救済法案について

廃案となった人権擁護法案に対し、当時野党であった民主党が提出したのが、「人権侵害救済法案」であり、その内容は、内閣府の外局として中央人権委員会を置き、都道府県知事の所轄の下に、地方人権委員会が置かれる。また、人権擁護委員は、地方人権委員会が委嘱することとし、その指揮監督を受けるとした(これにより国家公務員として扱われなくなった)。
さらに、報道機関等に対しては規制の対象外とした。
今回の法案はこの対案をベースとする模様。

人権侵害救済法案の問題点

自民党案の批判を受けた点をうまく回避しているかに見える人権救済法案だが、まだまだ問題は存在している。
それは、①人権擁護委員には国籍要件がない。(※中央および地方人権委員会の委員・委員長にはあり)②人権擁護委員の権限に、令状無しの強制捜査に類似する権限があるという点である。
また、そもそもなぜマスコミだけが特別に規制の外に置かれるかも全く不明。マスコミへのリップサービスという批判も。

総評

実は民主党のマニフェストに当初から成立させることを記載されていた本法案。とはいえ、地震で国内が混乱している際に、このようなデリケートな問題を含む法律を制定させるのは、どさくさにまぎれすぎじゃないかと感じる。
インターネットの発達により不当な人権侵害が起きているのは受け止めなければならない事実だが、人権救済の名の下に国が思想統制するようなことがあってはならないのは、憲法・そして今までの日本の歴史を振り返れば簡単に分かると思うのだが。
いずれにせよ、安易な議論で可決されて欲しくない法案であることは確かである。

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