Aichiアニソンフェスが開催3日前に中止発表、払い戻し対応へ
2023/10/10 訴訟対応, 消費者取引関連法務, 消費者契約法, 民事訴訟法, エンターテイメント

はじめに
10月7日から9日にかけて開催予定だった「Aichiアニソンフェス」が開催3日前に突如中止となりました。主催者側は理由について「運営側の不手際」と発表しており、チケットの払い戻し対応を開始しています。
開催3日前に中止発表
「10月7日(土)、8日(日)、9日(月)に開催を予定しておりました「Aichiアニソンフェス」は10月4日(水)を持ちまして、誠に申し訳ございませんが、運営側の不手際により苦渋の決断ではありますが開催を中止せざるを得なくなりました。」
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ライブ会場では、公式グッズの販売やアニメキャラクターなどの格好をするコスプレイベントの開催なども行われる予定だったといいます。さらに、イベントには地元の専門学生たちも参加するなど、地域全体で楽しめるイベントになるとうたっていました。
しかし、今回使用予定だったライブ会場の使用料が、支払期限だった10月4日午前までに入金が確認されず。これを受けて、モリコロパークを管理する愛知県都市整備協会などが主催者側に問い合わせたところ、詳細な理由を告げることなく、一方的に中止を通告されたということです。
その後、ホームページなどで正式に中止が発表されました。
会場は設営から撤去までを含めた7日間使用されることになっており、使用料は約130万円だったといいます。なお、中止に伴うキャンセル料の規定などは定められていないということです。
今後の返金対応
1日3000人の有料入場者が見込まれていたイベントの突然の中止発表。事前にホテルや交通機関の手配をしていた参加予定者も多く、不満の声が上がっています。
チケットは1日券や3日間の通し券など6500円~5万5000円の価格で販売されており、先行販売分の受け付けは既に終了していました。
現在、主催者側は、ホームページやSNSで払い戻しについての案内を出しています。払い戻しは、2023年10月7日(土)10:00〜2023年10月31日(火)23:59までの期間、全国のローソン・ミニストップにて行われるとのことです。
お知らせ(Aichiアニソンフェス実行委員会)
イベント中止が主催者にもたらすリスク
今回中止となったAichiアニソンフェスでは、チケットの返金が行われる見通しですが、過去にはチケット代金が購入者に返金されなかった事案がいくつもあります。
従前は、少額の被害の場合、裁判費用の方が大きくなるなどの理由から泣き寝入りしてしまうケースも少なくありませんでしたが、2016年に「消費者裁判手続特例法」が施行され消費者団体訴訟の制度が設けられました。
この制度は特定適格消費者団体と呼ばれる消費者団体が、消費者に代わって被害の集団的な回復を求めることができる二段階型の訴訟手続です。
対象となる事案は、契約上の債務の履行請求・不当利得に係る請求・契約上の債務の不履行による損害賠償請求・不法行為に基づく民法の規定による損害賠償請求となっており、いわゆる拡大損害・逸失利益・人身損害・慰謝料などは除かれています。
(1)共通義務確認訴訟
一段階目の手続きとなる共通義務確認訴訟では、特定適格消費者団体が原告となって訴訟を提起し、事業者が消費者に対して責任を負うか否かを裁判所が判断します。
(2)簡易確定手続等
一段階目の手続きで、事業者側の責任が認められたときには、被害者に通知や公告が行われたうえで、手続きに参加するか否かの確認が行われます。二段階目の手続きとなる簡易確定手続等では、裁判所による債権の確定(事業者が誰にいくらを支払うのかの確定)が行われます。そこで異議が生じた場合には、通常の訴訟に移行することになります。
また、和解については一段階目、二段階目、どちらの手続においても可能となっています。
■過去の制度活用事例
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消費者裁判手続特例法改正の概要(国民生活センター)
コメント
多くのチケット購入者・出演者・出店予定者、イベントスタッフそして会場施設管理者などを巻き込んだ今回の中止騒動。当事者の数だけ、契約が存在し、その後処理が必要となってきます。
その場合、レピュテーションの低下はもとより、損害賠償の支払いによる金銭的なダメージ、返金処理や和解交渉・裁判手続きなどに要する多大な負担などが予想されます。イベント開催にあたっては、契約段階からイベント終了まで、とにかく慎重に慎重を期した準備が必要となります。
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