彦根のアイドルの笑顔の裏にはドロドロの法廷騒動が・・・ひこにゃん訴訟騒動まとめ
2011/03/29   知財・ライセンス, 著作権法, 不正競争防止法, その他

概要

「ひこにゃん」の原作者が考案した別キャラクター「ひこねのよいにゃんこ」のグッズ販売について、市は28日、著作権法や不正競争防止法などに違反するとして、原作者とデザイン業者、グッズ製造販売4業者を相手取り、グッズ製造・販売の差し止めと4750万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴した。
市は「著作権侵害で、ひこにゃんをPRしてきた市の努力のただ乗りだ」と主張している。

市と原作者の争いの歴史

今回の事件の前に、これまでの争いを調べてみましたが、もうドロドロです;
①原案者が「座る」「跳ねる」「刀を抜く」の3ポーズの3点のイラストを400年祭実行委員会に著作権を帰属させる形で契約を交わす。
②市が原作者の意図しない性格(肉が好物)を付け加えたため、結果としてぬいぐるみ等で原作者の意図しない商品が販売される事態に。
③原作者は著作者人格権を根拠に、市に対して400年祭終了以降の使用禁止の民事調停を申し立てる
④2007年12月14日に彦根簡裁において民事調停が成立。3ポーズの著作権を実行委が買い取り、彦根市のキャラクターとしてひこにゃんの使用を続行することが決定した一方、 原案者は絵本に限りひこにゃんの使用を認められた
⑤2011年1月8日、市がひこにゃんの立体物を使用したり業者に使用を許可するのは 07年に両者が交わした調停に違反すると大阪地裁が認定。市側は大阪高裁に即時抗告。
⑥2011年3月28日原案者がひこにゃんと類似のキャラクター「ひこねのよいにゃんこ」を生み出し、様々なグッズを販売しているため、市がグッズ製造・販売の差し止めと4750 万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴(今回の事件)。

分析

なぜここまで争いが泥沼化するのか、それは一言で言うと「著作者人格権」(今回は同一性保持権の問題)の内容・限界があいまいであるからと思われる。
「同一性保持権」とは、原作者の意に反する著作物の変更、切除その他の改変を禁止することができる権利(著作権法20条1項前段)であり、著作権を譲渡しても原作者の下に存続する権利である。(第59条)
参考までに、従来の判例は原作者保護の観点から、「同一性保持権」を比較的広く解釈し、「意に反する」かどうかは原作者の主観的意図によって判断する場合が多いが、ネットによって流通のスピードが激増している現在では、広く捕らえすぎで商品の流通を阻害するのではないかとの批判もある。
ともかく、市側は最初に「同一性保持権」の限定・行使条件の設定を行っておくべきだった。
著作権への無知・配慮の無さが今回の事件へと発展したのは間違いない。

まとめ

著作物に関する法律への無知が、ひこにゃんというキャラクターを傷つけることになってしまった一連の事件。ひこにゃんは自分が原因で争う双方をどのように見るのだろうか・・・。

【参考リンク】
著作権法(法令データ検索システム)
同一性保持権の制限範囲の再検討(pdf)

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