ゲーム機の貸出しって違法なの?
2011/02/05 知財・ライセンス, 著作権法, その他

事実
ACCS(社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会)によると、兵庫県警生活経済課と生田署は、平成23年2月1日、神戸市内のホテルにおいて、客室のテレビにゲームを無断上映し、客に利用させていたとして、同ホテルを経営する神戸市の会社の役員男性(23歳)を、著作権法違反(上映権の侵害)の疑いで逮捕した、と報じている。
男性は、平成22年9月9日から11月25日までの間、4回に渡り、神戸市のホテルの客室2ヶ所において、任天堂が著作権を有する「マリオカートWii」、「マリオパーティ8」、カプコンが著作権を有する「バイオハザード5」、コーエーテクモゲームスが著作権を有する「真・三國無双5」を、客4人に対して上映していた。
問題点
今回、問題となったのは、「上映権」の侵害である。
そこで、この上映権について触れ、その上で、今回の問題の核心について検討する。
「上映権」について
上映権とは、他人によって無断で著作物を公に上映されない権利をいう(著作権法22条の2)。
「公に」とは、「公衆に直接見せ、または聞かせることを目的として」の意味であるため(22条)、そのような目的さえあればたとえ現実に人が集まっていなくても、公に上映したことになる。
<上映の例>
・映画館における映画の上映
・マンガ喫茶(ネット喫茶)やゲーム売り場に設置されたテレビにより影像を流す行為 など
(上映権は、非営利で行う上映については及ばないので(38条1項)、たとえば学校で名画を上映する場合には、著作権者の許諾なく自由に行うことができる)
今回の事件についての検討
「上映権」は、もともとは映画の無断上映を禁止する目的で定めたものとされている。
1999年に改正された改正法からは、この上映権のおよぶ範囲が拡大され、ゲームや写真、文書なども対象になった。
そこで、実際の適用例としては、店頭でのゲームのプレイやプロモーションビデオの再生、講演会での写真や切り抜きのプロジェクタ投影といった、著作物をスクリーンやテレビ、パソコンのディスプレイなどに映写する行為にも適用される。
これらは、営利を目的としない場合を除いて権利者に無断で行うことはできない。
そうすると、1つの疑問が浮かぶ。ネットカフェは、一体どうなるのか。
これについては、ネットカフェやまんが喫茶で行われているゲームの貸し出しについては、日本複合カフェ協会(JCCA)がそのための許諾システムを構築している。
つまり、権利関係については、関係団体には認識されており、そのためのシステムも出来ていたのである。
ゲームソフトの無断貸出でホテルが摘発されるケースは極めて珍しく、一般的な法感覚では、それが違法になるのか、と疑問に思うこともあるが、この点については、きちんとしたルールが出来ているといえる。
関連事件
ホテルにおけるゲームの無断上映が摘発されるのは、
・平成14年7月に愛知県豊川市内のホテル経営会社と役員男性が書類送検されて以来、2件目。
・平成13年には、まんが喫茶におけるゲームの無断上映についても、経営者らが逮捕されている。
(以上、ACCSのHP上記事からの引用)
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