Jリーグクラブ運営とコンプライアンス
2011/01/19   コンプライアンス, 民法・商法, その他

昨年、ホームゲーム58試合の入場者数を(計11万1737人)不正に水増し発表していたことが発覚したJ1所属の大宮アルディージャは、18日、コンプライアンスの強化のため、「特別倫理委員会」を設置すると発表しました。
特別委には同チーム社長及び幹部らに加え、社外委員として弁護士も参加するそうです。委員会は四半期ごとに開催され、コンプライアンスの状況を検証するとともに、選手やスタッフに向けたコンプライアンス徹底のための研修などを行っていくとのこと。 
なお、大宮アルディージャは、昨年、この件に関し、Jリーグから2000万円の罰金とけん責処分を受けている。

コメント

大宮の水増し事件のことの始まりは、同チームのある幹部がピッチからスタンドを目視したところ満員の状態だったため、前売り券が完売していたこともあり、ゲート通過数は1万1725人ながら1万4752人と発表したというものだったそうです。
関係者証言等を合わせますと、今回の事件が起こった原因として以下の2つの理由が考えられます。

①公式入場者数の決定に、特定の人物しか関わっていなかったために、上記のような目視でのいい加減な計測が通ってしまい、それが常態化したこと。
②大宮は07年4月に立てた「09年までに年間動員30万人」という目標を立てたが、一部幹部が、目標未達成の場合にスポンサーやサポーター離れが起こることを懸念したこと。

今回のような事案が生じた場合、法務部としてどのような取り組みを行うべきでしょうか。法務の重要な仕事の一つに、法令違反問題発生時にキーパーソンを特定し、その者のヒアリングを行っうたうえで、そのキーパーソンの意識改革を図るというものがあります。

今回の事件を受けて大宮は、外部の目による監視に加え、選手を含むチーム関係者全体のコンプライアンスの徹底という解決策を採ったわけですが、今回の問題のキーパーソンは、社長及び公式入場者数の決定に関わった一部幹部であることは明白であり、事件発生の原因は、社長及び一部幹部が、水増しの事実が判明したときのリスクの大きさを認識していなかったことに尽きます。

結局、キーパーソンである会社のトップに対するコンプライアンスの徹底こそが、最も必要な解決策でしょう。しかし、これは会社トップの人間自身に聞く耳がなければ、実現不可能な問題でもあります。
会社のトップに対するコンプライアンスの徹底。ある意味、法務にとって、最も悩ましい永遠の課題と言えますね。

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