景品表示法違反か?グルーポンおせち事件で新たな展開
2011/01/13 広告法務, 景品表示法, 流通

1 事件の概要
年末年始の社会面ニュースを賑わしたグルーポンおせち騒動が新たな展開を迎えた。2011年1月6日、横浜市が株式会社外食文化研究所に対して景品表示法違反の疑いで立ち入り調査を実施し、さらに同7日、消費者庁も調査を開始していることが判明した。
おせち料理を提供したバードカフェを経営する㈱会社外食文化研究所の水口社長が辞任を発表し、購入者に全額返金及びグルーポン商品の謹呈をすることで収束すると見られた一連の「グルーポンおせち事件」であったが、ここにきて消費者を保護するための法律に違反する疑いを持たれた。通販による食料品販売方法、及び、フラッシュマーケティングの手法のあり方についても問われる。
2 事件の経緯
2010.11~ :㈱外食文化研究所が経営するバードカフェ、グルーポンでおせち販売開始。
2010.12.31:おせちの配送予定日。食べログ、バードカフェ横浜店のページに「おせちは論外」というクチコミが寄せられる。
2010.12.31:購入者から「商品内容が見本と異なる」「配送が遅れる」という苦情が92件寄せられる。グルーポン、twitterで謝罪。
2011.1.2 :バードカフェの納品書破棄、食品表示違反疑惑が生じる。
2011.1.2 :㈱外食文化研究所の水口憲治氏が社長辞任を発表。
2011.1.5 :グルーポンが経緯報告を発表。経緯及び購入者に対する対応を発表。
2011.1.5 :消費者相「実際にそうであれば景品表示法違反」との意見
2011.1.5 :横浜市が、景品表示法違反の疑いで調査開始。同6日、立入調査。
2011.1.7 :消費者庁が、景品表示法違反の疑いで調査開始。
2011.1.7 :農水省が、販売方法が日本農林規格(JAS)法の適用対象になるか調査。
2011.1.12 :一連の事件に対応する形でクーポンサイトが審査基準を公表。
3 問題の視点
今回の一連の事件で問題となり得るのは、大きく分けて食料品通販のあり方とフラッシュマーケティングのあり方であろう。前者の点では、①多数の商品の販売に耐え得る規模であるか、②二重価格を設定していないか、後者の点では、①食料品販売店に対する説明責任が果たされているか、②食料品販売店の審査基準は明確か、③実質的な違法な二重価格の問題はないか、という点が挙げられる。
今回の横浜市、消費者庁による調査・立入調査は、「違法な二重価格」の疑いを持っているものと推測される(下記、景品表示法4条1項2号参照。)。
グルーポンをはじめとする事前購入型クーポンサイトは、商品を販売する際、「通常価格・定価」などの比較対象と「値引き価格」とする実際を併記する「二重価格表示」を行っている。これは商品の割安感を消費者にみせることで拡販を行う手法である。
二重価格であっても通常は問題とならないが、実際に販売されたこともない「定価」を設定して既存価格とすることは『景品表示法』で禁止されている。
一部の「事前購入型クーポン」サイトでは、販売された実態のない定価を表示する違法な二重価格表示が常習的に行われているとして、インターネットを中心に批判が高まっている。
違法ではないとしても、消費者としてはこのような二重価格に踊らされることなく、物事の本質(価値のある商品か)を見極めなければならない。
4 関係条文
(目的)
第一条 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。
(不当な表示の禁止)
第4条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
……
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
5 関連リンク
グルーポンで買ったおせちが酷い!まとめwiki
ネット注文の「スカスカ」おせち、横浜市が調査開始 (リンク切れ) →代替リンク
グルーポンおせち事件:問題点と解決策 (リンク切れ) →代替リンク
二重価格表示とは? 知っておくべき景品表示法
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