全農が景表法違反!!米・野菜の安全性確保で重要なことは??
2010/12/09 広告法務, 景品表示法, 流通

1 事件の概要
平成22年12月8日、消費者庁は、全国農業協同組合連合会(以下、「全農」という)が販売していたコシヒカリに「化学肥料不使用」の特別栽培米と表記していた行為について、景品表示法違反行為(第4条第1項1号=優良誤認)が認められたとして、措置命令を行った。
平成22年2月に農水省の指摘で表示の不適正が判明し、全農は告示の上、自主回収した。消費者庁は消費者の安全志向の高まりや、農協を監督すべき全農の違反であることから、今回の措置命令を出すことになった。
2 問題となった行為
農水省の「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」(以下、「ガイドライン」という。)によると、「化学肥料不使用」の「特別栽培米」として販売することが許されるのは、育苗から収穫まですべての生産過程で使用していない場合に限られる。
全農が販売した特別栽培米は、“田植え後”は化学肥料は使われておらずガイドラインの要件は満たしていたが、“育苗”の段階で化学肥料が使われており要件を満たしていなかった。
今回問題となった優良誤認表示は、育苗段階での化学肥料の使用は特別栽培米の要件とは関係ないとの職員の勘違いから生じたと全農は説明している。
3 問題の背景
本事件は、職員の勘違いから生じたもので、消費者の誤認を利用しようとしたものではない。しかし、商品への誤った表示は消費者の誤認を利用として利益を上げようとする場合が多い。
このような米・野菜の優良誤認表示の問題の背景には「無農薬だけが安全である」という消費者の誤った認識があるともいえる。「特別栽培」「無農薬」「有機栽培」とまるでブランド物のように扱われ、反対にそうでない物はまるで危険物のように見る傾向がある。
このような傾向に対して、その認識は誤っているとの意見も見受けられる。(関連リンク参照)。
何が安全で、危険性はどの程度なのか、私達の口に入る米・野菜であるからこそ明確にして欲しいと思われる。それと同時に、私達消費者もメディアに踊らされずに、出来る限り自ら正しい情報を仕入れなければならない。
4 関係条文
(目的)
第一条 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。
(不当な表示の禁止)
第四条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの
三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの
5 関連リンク
全国農業協同組合連合会に対する景品表示法に基づく措置命令について(消費者庁)
農林水産省 特別栽培農産物に係る表示ガイドライン
有機野菜(有機野菜の危険性とオーガニック神話のウラ ZAK×SPA!)(リンク切れ) →代替リンク
安全? 無農薬と有機栽培~有機栽培の安全性~
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奥村友宏 氏(LegalOn Technologies 執行役員、法務開発責任者、弁護士)
登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
潮崎明憲 氏(株式会社パソナ 法務専門キャリアアドバイザー)
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- 終了
- 視聴時間1時間27分
- 弁護士
- 水守 真由弁護士
- 弁護士法人かなめ
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