4月1日から施行、改正健康増進法について
2020/04/17   コンプライアンス, 法改正

はじめに

 受動喫煙の防止を目的とした改正健康増進法が4月1日に全面施行されました。これにより屋内は原則として全面禁煙となります。今回は改正健康増進法による規制を見直していきます。

改正健康増進法の趣旨

 厚生労働省のHPによりますと、改正健康増進法の基本理念は望まない受動喫煙をなくすこと、特に健康への影響が大きい子供や病者に特に配慮することとされております。受動喫煙による健康への影響が小さくない反面、喫煙者が一定程度いる現状を踏まえて施設の類型、場所ごとに対策を実施し、屋内において望まない受動喫煙を防止します。また同時に直ちに措置を取ることが困難な小規模事業者にも配慮されております。

施設内での喫煙規制

 改正健康増進法では多数の者が利用する施設内では原則禁煙となります。具体的には学校、病院、児童福祉施設、行政機関、旅客運送自動車、航空機の敷地内は全面禁煙となります(第一種施設)。それ以外の多数の者が利用する施設では一定の要件のもとに喫煙が可能となります(第二種施設)。たとえば飲食店や旅客運送事業用の船舶、鉄道などが該当します。なお第一種施設でも屋外に受動喫煙を防止するための措置がとられた喫煙場所を設置することは可能です。

喫煙のための措置

 飲食店やホテル、旅館、旅客運送事業用船舶、鉄道などでは上記のとおり原則として屋内禁煙ですが、一定の措置をとることによって喫煙が可能となります。喫煙が可能となる場合は以下の4つにわかれます。なお全ての施設で喫煙可能である旨の掲示と20歳未満の者の立ち入りが禁止されます。

(1)喫煙専用室
 施設の一部に設置することによって、通常のタバコの喫煙が可能となります。同時に飲食物等の提供はできません。。一般的な事業者が設置可能です。

(2)加熱式タバコ専用喫煙室
 施設の一部に設置することによって、加熱式タバコのみ喫煙可能となります。喫煙専用室と違い飲食物も同時に提供することが可能です。こちらも一般的な事業者が設置可能です。

(3)喫煙可能室
 施設の全部または一部に設置が可能で、通常のタバコの喫煙と飲食物の提供ができます。これは既存の小規模事業者への経過措置で資本金または出資総額が5000万円以下、または客席面積が100㎡以下の飲食店に限ります。別に法律で定める日までとなっております。

(4)喫煙目的室
 喫煙を主目的とする施設、たとえば喫煙のためのバー、スナック、タバコ販売店、公衆喫煙所ではタバコの喫煙および飲食物の提供が可能です。

東京都の受動喫煙防止条例

 なお東京都では同時に受動喫煙防止条例が施行されます。同条例では上記の小規模事業者のための例外規定であった客席面積100㎡以下という基準が家族経営や従業員がいない店舗となります。改正健康増進法の基準よりも厳しく他の地域に比較して相当適用対象が限定されることとなります。

コメント

 昨今の新型コロナウイルスの感染拡大によって緊急事態宣言も出され各企業ではその対応に追われております。そんな混乱の中先日4月1日から改正健康増進法も予定通り全面施行されました。上記のとおり多数の者が利用する商業施設の責任者は受動喫煙防止のための措置の選択が必要となります。またこれらの措置を施した施設内は20歳未満の者の立ち入りが禁止されますが、これには従業員も含まれており、店舗内全面で喫煙可能としている小規模店舗では未成年者を使用することもできなくなります。これらの新規制では行政による指導や勧告、違反者には罰則も規定されております。コロナウイルスでの混乱で対応が容易ではないことと考えられますが、受動喫煙対策も留意して対応していくことが重要と言えるでしょう。

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