関経連、中経連が意見書提出、四半期決算について
2019/09/30   商事法務, 金融法務, 金融商品取引法

はじめに

関西経済連合会と中部、九州、北陸の経済連合会は26日、コーポレートガバナンス体制構築に関する意見書を取りまとめました。
金商法によって義務づけられている四半期決算を廃止すべきといった提言が盛り込まれております。
今回は四半期決算について見ていきます。

事案の概要

報道などによりますと、各経済連合会の取りまとめた意見書では金商法で平成20年から義務化されている四半期決算について、企業経営の短期的利益思考を助長しかねず、また3ヶ月ごとの決算開示は従業員への負担も大きいとして廃止すべきとしているとのことです。

また金融庁と東証が上場企業に導入しているコーポレートガバナンス・コードに関しても社外取締役を2名以上選任すべきとしているのに対し、取締役の選任は各社の裁量に委ねるべきとしています。
意見書は近く各関係省庁に提出される見通しです。

企業情報の開示制度

会社法や金商法では企業経営の公正さと透明性を確保するためにさまざまな企業情報の開示制度が置かれております。

平成17年の会社法制定以前では粉飾決算やインサイダー取引などの会社不祥事が相次ぎ、コーポレートガバナンス体制の強化や内部統制システムの整備の必要性が盛んに議論されるようになっておりました。
それと同時に決算書類や事業報告などの会社情報の開示の強化も求められ、会社法や改正金商法でそれぞれ企業情報開示の規定が置かれることとなりました。

会社法による情報開示

会社法では計算書類、事業報告と附属明細書を作成し株主総会に報告することが義務づけられております(435条2項、438条3項、439条)。

事業報告では資金調達、設備投資、組織再編などの会社の状況、内部統制システム、役員に関する事項、株式に関する事項などを記載することとなっております(会社法施行規則118条~128条)。
計算書類は貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表となっており(435条2項、会社計算規則72条~116条)、大会社で有価証券報告書提出会社は連結計算書類の作成も必要となります(441条1項)。

金商法による情報開示

証券取引所に上場している会社の場合、上記会社法による開示だけでなく金商法による開示制度にも注意が必要です。

まず発行価額の総額が1億円以上の有価証券を発行する場合は有価証券届出書や目論見書の作成が必要となります(金商法4条、5条)。
そして上場会社や店頭登録をしている会社などの場合は各事業年度経過後3ヶ月以内に有価証券報告書の提出が義務づけられます(24条)。
さらに上場会社等は1年を4期に分けて3ヶ月に1度、その期間の末日から45日以内に会社や会社グループの経理状況や業績などの報告が求められます(24条の4の7)。
これが四半期報告書と呼ばれるものです。

もともとは証券取引所の自主ルールによって行われておりましたが金商法改正によって法律化されております。
一定の上場会社ではより細かく企業情報を開示することによって投資家保護を図ることが目的となっております。

これらの報告書などに虚偽の記載をした場合は5年以下の懲役、500万円以下の罰金またはこれらの併科(197条の2第2項、6項)となり、法人の場合は5億円以下の罰金となります(207条1項2号)。

コメント

以上のように会社、特に上場会社に関してはかなり厳格に企業情報の開示が求められております。

特に四半期報告書は財務諸表は原則連結財務諸表のみとするなど、ある程度簡略化されてはいるものの3ヶ月に1度の作成となるとかなりの負担となります。
また虚偽記載には上記のように相当重い罰則も規定されております。

今後このように経済界から廃止または負担軽減の要望の声が大きくなってきた場合は金商法ないし会社法の改正がなされることもありえると思われますが、現状では依然として上場会社に義務づけられております。

株式の上場を検討している場合には会社法だけでなく金商法上の業務負担の増加も念頭に置いて進めていくことが重要と言えるでしょう。

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