キリン堂に措置命令、処分例から見る「優良誤認」
2018/09/07   コンプライアンス, 広告法務, 景品表示法

はじめに

消費者庁は4日、サプリメントを飲むだけで痩せられると宣伝して販売していた「キリン堂」(大阪市)に対し景表法違反で措置命令を出していたことがわかりました。提出された資料からは痩身効果の根拠が認められなかったとのことです。今回はサプリメント等の優良誤認を処分例から見ていきます。

事案の概要

公正取引委員会の発表によりますと、ドラッグストアを運営するキリン堂は「グラリスゴールド」と称される健康サプリメントを販売しておりました。問題となったのは店内表示で、太った人物と痩せた人物のイラストと共に「挑戦者続出」「食べるの大好き&運動嫌い」「でも燃えた!!」「脂肪を減らしながら基礎代謝を上げる だからリバウンドしにくい」「脂肪の消費を大幅UP」などと表示されていたとのことです。消費者庁はあたかも摂取するだけで痩身効果があるような表示がされているとして景表法に違反すると判断しました。

景表法による規制

景表法5条1号では、「自己の供給する商品又は役務」について「実際のものよりも著しく優良であると示し」「不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれ」がある表示は不当表示として禁止しております。一般に優良誤認表示と呼ばれるもので違反した場合には措置命令および課徴金納付命令の対象となります(7条、8条)。独禁法と同様に減免措置があり自主申告(リニエンシー制度)により50%減額されます(9条)。また返金措置として消費者に代金を3%上乗せして返還した場合も減免を受けられます(10条)。

優良誤認の要件

消費者庁のガイドラインによりますと、優良誤認の判断は一般消費者を基準になされることになります。商品・役務の品質等が科学的・客観的にみて表示されたものより実際のものが上回っているかではなく、一般消費者にとって実際よりも「優良」であると認識されるかで判断されるとされております。「著しく」とは誇張の程度が社会一般に許容される程度を超えて消費者の選択に影響を与えるかで判断され、表示は特定の文言、図、写真等から受ける印象ではなく、表示内容全体から受ける印象が基準となります。

これまでの処分例

①「14日間の使用で体重マイナス12.8kg以上をお約束」などと表示してサプリメントや化粧品を販売していた通販会社「ブレインハーツ」(大阪市)に措置命令と課徴金2229万円の納付命令が出ております。また同社は「通常価格14900円を限定特価2980円」などと表示し有利誤認にも当たるとされました。
②「きしみが聞こえない」「1日3粒、まずはつらさをやわらげる」「軟骨成分を補充」などと表示し関節サプリなどを販売していた「マイケア」に優良誤認の疑いがあるとして指導がなされております。科学的根拠を示したものの消費者からは関節の痛みが緩和・解消されるかのように受け取れるとして指導を受けました。
③「ダイエットサポートがこの1粒で!短期間で-3kgの秘密とは…?」「寝る前にたった1粒。短期間ではっきりと変化が」「短期間でマイナス3kg!ブラックジンジャーが脂肪そのものを減らす!」などと記載し「LAPURA」と称される食品を販売していた源平製薬(富山)が措置命令を受けております。表示を裏付ける根拠が示されなかったとしています。

コメント

本件でキリン堂が行っていた表示は一般消費者の観点から全体的に見て、飲むだけで運動しなくても体脂肪が減少し痩せていくような印象を受けます。提出された資料からは飲むだけで痩せる効果を裏付ける根拠が認められなかったとのことです。以上のように優良誤認は一般消費者が受ける印象と実際とに乖離がある場合に成立します。消費者庁は優良誤認の疑いがある場合は期間を定めて合理的な根拠を示す資料の提出を求めます(7条2項)。ここで合理的に裏付けができなければ違法と判断されることになります。近年同様のサプリメントなどで多数の行政処分をなされております。健康食品などを販売する際には一般消費者がどのように受け取るかに留意しつつ、それを合理的に裏付けることができるかを確認しておくことが重要と言えるでしょう。

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