金融庁が3度目の一斉処分、仮想通貨業規制について
2018/06/27   金融法務, コンプライアンス

はじめに

金融庁は22日、ビットバンクやビットフライヤーなど仮想通貨の交換事業を行っている企業6社に対し業務改善命令を出しました。金融庁による一斉処分は今回で3度目となります。今回は仮想通貨交換事業を行う上での資金決済法上の規制について、改めて見ていきたいと思います。

事案の概要

金融庁の発表などによりますと、金融庁は1月のコインチェック仮想通貨流出事件以降継続的に仮想通貨取引業者の業務体制の調査等を行っておりました。システム管理体制等の報告書提出を求めたり、立入検査等によって今回新たに6社について内部管理体制やシステムリスク管理体制の不備が見つかり今回の業務改善命令に踏み切ったとされます。3月から続く一連の一斉処分は主に「みなし登録業者」が対象でしたが、今回は正規登録業者が対象となっている点で注目を集めております。

資金決済法による規制

仮想通貨取引事業を行うには内閣総理大臣の登録を受けなければなりません(63条の2)。登録申請に際しては商号や住所、役員の氏名、取り扱う仮想通貨の名称等を記載しますが、利用者の財産管理についての記載が重要です(63条の3)。なお仮想通貨業に関する改正資金決済法が施行される2017年4月1日以前から仮想通貨取引業を行っている場合は施行日から6ヶ月間、未登録でも業務を継続でき、その間に登録申請を行ったら6ヶ月経過後も引き続き業務を行えます(附則8条1項)。

登録後の業務

登録後は仮想通貨業に関する情報漏えいや滅失毀損の防止、利用者財産の保護などの必要な措置を講じていく義務が生じます(63条の8)。顧客の重要な財産である仮想通貨の流出や犯罪利用、マネーロンダリング等への利用などを防止するための厳格なシステムを構築する必要があります。また利用者が仮想通貨を外国通貨と誤認したりしないよう十分な説明や、利用者の財産と自社の財産が混同しないよう厳格に分別する義務も負います(63条の10、11)。また利用者とのトラブル防止のため専門知識を有する者による苦情処理や紛争解決措置、専門の指定紛争解決機関との契約などが必要となります(63条の12)。

金融庁による監督

仮想通貨取引業者は事業年度ごとに報告書を作成し内閣総理大臣に提出しなければなりません(63条の14)。また内閣総理大臣は必要と認めるときは報告書や資料の提出を命じることができ、また立入検査を行うことができます(63条の15)。そして法令違反等があった場合、または適正な業務遂行のため必要がある場合は業務改善命令を出すことができます(63条の16)。またそれらの命令や処分に違反した場合や登録拒否事由に該当した場合、不正登録があった場合には登録取消し、または6ヶ月の範囲で業務停止を命じることができます(63条の17)。なおこれらの権限は金融庁長官に委任されます(104条1項)。

コメント

近年日本における仮想通貨の取引高は急激に増加しており、多くの企業が仮想通貨取引業に参入しております。しかし一方で適切な規制が追いついておらず犯罪やマネーロンダリングに利用されたり、また通貨の不正流出の危険が指摘されてきました。今年1月のコインチェック事件から続く一連の処分はまさにそれらの問題に警鐘を鳴らす意味合いもあったと言えます。これまでの一斉処分の対象となってきた企業はいわゆる「みなし登録業者」でした。しかし今回処分された6社は金融庁により正式に登録された業者が対象となっております。金融庁の審査を通った業者でもなお利益至上主義に走り、リスク管理体制や内部統制、コンプライアンス体制が疎かになっていると金融庁は指摘しております。昨今仮想通貨事業に参入するべく登録申請をしている企業は100社を超えるとされております。しかしこれまでの経緯を踏まえて金融庁の審査は厳しいものとなっており、審査には8ヶ月程度かかると言われております。新規参入を検討している場合はこれらの点を踏まえて、特にシステム管理体制に重点を置いて準備することが重要と言えるでしょう。

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