「白バス」営業で映画プロデューサーらを逮捕、貸し切りバスの許可について
2017/06/26   行政対応

はじめに

警視庁は22日、営業許可を受けずに映画の撮影現場で役者や撮影機材を運ぶ業務を行ったとして、映画プロデューサーと運搬業者「ロイヤルクレイドル」(東京都)社長を逮捕していたことがわかりました。いわゆる「白バス」行為を行っていたとのことです。今回は貸し切りバス業への規制について見ていきます。

事件の概要

報道などによりますと、映画プロデューサーの湊谷容疑者(44)と運搬業者「ロイヤルクレイドル」社長吉野容疑者(53)らは2016年11月~翌17年2月にかけて地方運輸局長の許可を得ずにマイクロバスを使用して映画のロケ地で役者や撮影スタッフ、機材等を有償で運搬していたとのことです。同社は映画業界で車両のレンタルや運搬業を行うために2016年5月に設立され、運賃は一律4万5000円で国土交通省の基準額の下限を大幅に下回っており、一般の貸し切りバス料金より10万円ほど安い場合もあったとされております。

道路運送法上の規制

バスやマイクロバスなどを使用して有償で送迎等を行う行為を営むためには国土交通大臣(地方運輸局長)の許可を受ける必要があります(道路運送法4条)。マイクロバス等を貸し切って送迎を行う行為は法律上「一般貸切旅客自動車運送事業」と呼ばれ、許可を得ずに「有償」で旅客運搬業を行った場合は3年以下の懲役、300万円以下の罰金の罰則が定められております(96条)。事業用ではない自家用車で行った場合は6ヶ月以内の自家用車使用禁止処分(81条)の行政処分の他に1年以下の懲役、150万円以下の罰金が科されることになります(97条)。

有償とは

これらの行為はあくまで「有償」で行う場合に規制の対象となってきます。有償とは運送サービスに対する報酬として金銭等を受けることを言いますが、形式的な謝礼や寄付といった名目でも該当することになります。国土交通省の基準(平成18年9月29日通達)によりますと、謝礼が請求や要求、合意によらない任意によってなされた場合は該当しないことになります。実際に支払われていなくても合意等があれば有償とみなされます。換価困難な物を提供された場合は有償に該当しません。たとえば自宅で取れた野菜などです。商品券や図書券などは換価性があり有償となります。また対価が完全な実費の負担のみであれば有償ではないとしています。例えばガソリン代や道路通行料などです。人件費や保険料は該当せず有償となります。運送の対価が公費から出ていて、利用者が負担していない場合も有償に該当しないとされております。

営業許可申請

有償で貸切運送業を行うためには当該営業所を管轄する運輸支局に営業許可申請を提出し営業許可を受ける必要があります。必要な手続を簡単に挙げますと、①営業所、車庫、休眠設備、運送用自動車の準備、②運行管理者、整備管理者、運転者、安全管理者等の選定、③自己資金確保、④許可申請書の作成、提出、⑤法令試験受験等となります。法令試験とは道路運送関係法令の知識を代表者が有しているかの試験です。毎月1回実施され90%以上の得点で合格となります。不合格でも1回限り再受験が許されます。合格できなければ営業許可はなされません。

コメント

本件でロイヤルクレイドルは映画関係スタッフをロケ地まで4万5000円で運送していたとされております。これは「有償」での貸切旅客運送ということになり道路運送法上の許可が必要となります。顧客の送迎等を許可を受けずに行える場合はかなり厳格に制限されており、例えば旅館や飲食店が所有する自家用バスで最寄り駅まで無料で送迎するなどに限られます。実際に摘発された事例としては、地方のサッカークラブが臨時駐車場から試合会場までシャトルバスで観客を送迎した際に募金という名目で100円を徴収したものがあります。また私的な写真愛好家グループがマイクロバスで会員を送迎する際に燃料費など実費を超えて参加費を徴収していたという例もあります。このように違法な「有償」白バス行為に該当するかはかなり微妙な判断を要することになります。イベント等で顧客をマイクロバス等を使用して送迎する場合は国交省通達等の基準を念頭に、判断が難しい場合は最寄の運輸局に問い合わせるなどの配慮が重要と言えるでしょう。

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