香川県が著作権者に無断で地図情報を使用
2016/11/25   知財・ライセンス, 著作権法

1 事案の概要

  香川県は、県のホームページにおいて掲載していた地図情報(地図1562枚)について著作権者の許可を取らないなど著作権法及び地図情報提供者の利用規約に147件も違反していました。
 それに対し、香川県は、ホームページから地図情報を削除し、著作権者である国土地理院、昭文社、グーグルなどに「著作権としての権利を害した」ことを謝罪しました。
※なお、以上のような香川県の謝罪対応に対してすべての地図情報提供者は受け入れるとのことです。
香川県ホームページ

2 著作権とは

 著作権とは、「著作物を製作した著作者の権利」のことを指します。
 また、著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法第2条1項1号)を指します。
著作権法
文化庁
 そして、著作権は、著作者が著作物を創作したときに自動的に発生します。したがって、権利を得るためにどんな手続きも必要ありません(無方式主義)。
 もっとも、著作権関係の法律事実を公示するとか,あるいは著作権が移転した場合の取引の安全を確保するなどのために文化庁に登録すると、法律上一定の効果が生じることになります。(登録の法律上の効果は文化庁のホームページをご参照ください。)
著作権登録制度(文化庁)

3 著作物の利用について

 著作物は著作権法により保護されています。そのため、著作物を利用する場合、原則として著作権者の許諾が必要です(著作権法第63条2項)。もっとも、一定の場合には著作権者の許諾なく利用することができます。
 そして、著作権者の許諾なく利用できる場合としては、多岐に渡ります(著作権法第30条~第42条の3、第44条~第47条の8)。
 例えば、私的使用のための複製(著作権法第30条)、図書館等における複製(著作権法第31条)、引用(著作権法第32条)、教科用図書等への掲載(著作権法第33条)などがあります。(詳しくは以下の著作権情報センターのホームページをご参考にしてください。)
公益社団法人著作権情報センター

4 著作権侵害の罰則

 
 著作権を侵害した場合には侵害者は、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、またはその両方を科されます(著作権法119条)。
 また、法人の代表者や従業員等が著作権侵害行為を行った場合には、本人と当該法人にも3億円以下の罰金が科されます。(著作権法124条)
 

5 著作権者の請求

 著作権者から請求できる方法は以下の4つとなります。
①侵害行為の差止請求(著作権法第112条)
 権利者は権利を侵害した者や、侵害の可能性がある者に対して差止請求をすることができます。
②損害賠償請求(民法第709条、著作権法第114条)
 著作権者は侵害者に対して損害賠償の請求ができます。
③不当利得返還請求(民法第703条、第704条)
 著作権の侵害者が侵害した著作物で利益を得ていた場合、その利益を返還するように請求することができます。
④名誉回復などの措置の請求(著作権法115条、116条)
 著作者または実演家は、故意または過失がある侵害者に名誉等を回復するための措置を請求できます。
著作権侵害|違反事例と罰則から著作権侵害の対策をする方法

6 コメント

 本件は香川県という地方公共団体が著作権を侵害しましたが、民間企業もその可能性はあると思います。企業が著作権を侵害した場合には、刑事面としては10年以下の懲役又は3億円以下の罰金などが科されることがあります。また、民事面としては著作権者から損害賠償請求も受ける恐れもあります。
 さらに、著作権侵害をした企業は世間からの評判を落とし、顧客の信頼を失いかねません。
 したがって、他人の著作権を侵害していないかについて自社のホームページ及び業務内容を随時確認するべきです。

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