企業の長期インターンシップの導入
2016/08/17   労務法務, 労働法全般

はじめに

企業にまつわる国の政策に対して数々の政策提言を行っている経済同友会が、2015年に「これからの企業・社会が求める人材像と大学への期待~個人の資質能力を高め、組織を活かした競争力向上~」という提言を行い、その中でインターンシップ制度の「望ましい枠組み」として、①原則1ヶ月以上の長期化の方針、②学部1、2年生からの早期参加、③報酬の支給などの、インターンシップの改革案を示しました。
そして、これを受けて教育改革委員会を構成する複数の企業では、今年度より長期のインターンシップを導入しています。例えば、デュポン株式会社は、2016年5月より、11週間以内の長期のインターンシップを導入しています。 
以下、インターンシップ制度と企業の関わりを見ていきます。

インターンシップとは

インターンシップとは、学生が民間企業や官公庁などで、大学に在籍しながら実際に就労体験を行うことです。インターンシップを行うことにより、学生は早期に自らのキャリアのイメージを固めることができ、企業にとっても以下のようなメリットがあります。

インターンシップ制度のメリット・デメリット

メリット
・企業としての社会貢献をアピールすることができる
・学生に対して自社のPRにつながる
・優秀な人材とのコネクション作り

デメリット
・指導担当がいた場合に負担がある
・労働災害等があった場合に、安全配慮義務違反が問われるなど、受入れに伴う訴訟のリスク

インターンの法的な位置づけ

※インターンの「労働者」性
行政通達において、「インターンシップにおいての実習が、見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定される労働者に該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生の間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられる。」とされています(H9.9.18基発第636号)。
ポイントは、以下の2点を考慮することになります。
①直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属すること
②事業場と学生の間に使用従属関係が認められること 

インターンが「労働者」にあたる場合には、労働災害につき、安全配慮義務が生じ、労災保険の適用もある。
適用基準
・賃金の支払いの有無
・研修(業務)の内容
・拘束時間
(参考 日本の人事部)

安全配慮義務違反に問われないために

http://www.corporate-legal.jp/%E6%B3%95%E5%8B%99navi%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81/7033
(参考 企業法務ナビ 企業の安全配慮義務~事件から従業員を守るために~)

経済同友会が描く、これからのインターンシップ

経済同友会は、産学官協働の一環としてインターンシップを早期に実施することにより、大学教育の教育効果を高めることを目的として早期に1ヶ月以上のインターンシップを行うモデルを採用しています。
そして、そこで得た知識や問題意識をもとに在学中から卒業後も学習や経験を積み重ね、卒業後も5年間は新卒として取り扱い、学生に卒業後も海外経験などの興味のある分野についての経験を積ませる機会を与えた上で、通年採用とすることを提案しています。
現状では、新卒一括採用によって、学生は3年の後期には就職活動を開始しています。新卒一括採用は、企業にとってポテンシャルのある学生の選考活動を効率的に行うことができるというメリットがある反面、学生側にとっては大学における学問に集中できないなどの問題点も指摘されており、上記の提案はこのような問題意識によるものであると思われます。

さいごに

新卒一括採用の慣行のもとで、ただちに通年採用に以降するものとは言えないとしても、上述の経済同友会の長期インターンシップの導入や、今後これに追随する企業がでてくるとすれば、それは日本の採用スタイルに何らかの影響を及ぼす可能性もあります。 法務担当者としても、インターン生の受入れの際に、例えば実費や報酬の支給に関するルールなどの社内規定を整備し、あるいは就業中のトラブル対応など、関わりが出てくる場合が存在するものと思われますので、是非とも議論の状況にご留意下さい。

参照 2014年度提言の実践活動による「望ましい枠組み」の インターンシップ実現に向けた活動報告(pdf)

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