白タク規制が新たな交通ニーズの妨げに?
2016/06/23   コンプライアンス

1、ささえ合い交通

ささえ合い交通は、タクシーの事業資格をもたない一般人をドライバーとして登録し、利用客がスマホアプリを使ってドライバーを呼ぶシステムだ。NPO法人「気張る!ふるさと丹後町」が運営し、スマートフォンなどのアプリで車を呼ぶためのシステムをライドシェア世界大手の米ウーバー・テクノロジーズ(Uber)日本法人が提供している。
 京都府京丹後市は人口5563人のうち2219人が65歳以上をしめ、移動には公共交通が欠かせない。しかし、2008年にタクシー事業者が採算をとれないことを理由に撤退。路線バスも1日十数本走行するだけであり、住民から新たな交通サービスの需要が高まっていた。

2、日本白タク規制

 タクシーなど「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して旅客を運送する事業を行う」場合、事業者は国土交通大臣の許可が必要となる
(道路運送法2条3項、4条1項)。許可のない自動車は自家用自動車となるが、自家用自動車は有償で運送の用に供してはならない(同78条)。
 一方、公共交通機関では住民が十分な輸送手段を確保できない場合、NPOなどが会員に対して実費の範囲内での有償輸送サービスを提供できる(78条2項)、ささえ合い交通は、同法78条2号の「公共交通空白地有償運送」に該当。交通弱者救済のため、NPO法人「気張る!ふるさと丹後町」が本事業を運営するに至った。

3、白タク規制の理由 ~ウーバーの事例を通して~

 しかし、一般的に一般運転手は事業者に比べ運転技能が劣り、運送上の安全面に問題がある。
 Uberの事例でみてみよう。Uberとは、アメリカ合衆国に本社を置くウーバー・テクノロジーズが運営する自動車配車ウェブサイトおよびアプリである。このアプリをスマホにダウンロードする事により、携帯のGPSで利用者から一番近くにいるドライバーが検索され、即、車を手配してくれる。その利便性から、2009年の設立より半年毎に約2倍の売上げを更新している。
 一方で、自家用車と免許を取得すれば誰でもUberの運転手になれることから、運行における安全面の問題が世界で危惧されている。アメリカやインドではUberドライバーが客をレイプする強姦事件が発生。中国ではUber登録者のデータがハッキングされ、クレジットカードが不正使用される事件が生じている。
 白タクの安全性を危惧し、日本は原則として白タクを禁止。公共交通空白地有償運送を行う際も様々な規制を課している。あくまで交通弱者に交通サービスを提供する例外的な措置と位置づけているため、営利目的は認められない。運営主体はNPO法人等に限定され、乗車料金は概ね既存のタクシー運賃の2分の1以下。米国ではシェアリングサービスを提供するUberも、日本では同NPOに配車と決済アプリを提供するにとどまった。法規制に合わせてサービスを作ったため、Uberが欧米で実施する自由なライドシェアサービスとは異なる形となっている。

4、コメント ~時代にあった規制を~

 日本の高齢化、地方の過疎化は進行し、収益が不十分な公共交通機関の撤退は今後も続くと考えられる。交通弱者の足として、地域の実情や時代にあった交通サービスの需要はますます高まっていくだろう。国や自治体は交通ニーズと安全性いずれも満たす法規制の再考を迫られている。法務担当者としては、社会のニーズやそれに合わせた規制緩和の動きに目を配り、需要者ニーズに迅速に対応できる体制を整えておくことが必要となろう。

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